センチメンタル (ページ48)

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北斗side

信じられない。

ずっと走れなかった俺が...走れるなんて....

夢の中にいるかのようなフワフワとした感覚で、ボーッとジェシーがゴールした姿を見つめていた。

すると突然、

バシッと背中を叩かれる。

樹「北斗ー！！！お前めっちゃはえーじゃん！！」

樹がくしゃくしゃの笑顔で俺を見ていた。

照れ臭くてどんな反応をしていいかわからないでいると...

樹の後ろに、背後霊のようにして立っている男がいた。

樹「うわっ！！！なんだお前！いたのかよ！」

樹もそれに気づいたようで慌てて体勢を変える。

慎「ほ、北斗...は、早かったですね...」

慎太郎はなぜか敬語で話しかけてきた。

北「あ、ありがとう...そ、それより...怪我とか...大丈夫？」

慎「え、あ...全然大丈夫だよ！！！」

見るからに大丈夫そうには見えなかった。

膝からはダラダラと血が垂れている。

樹「とりあえずお前ら保健室行ってこいよ！な？」

慎「お、おう...」

慎太郎が保健室に向かう後ろを少し距離を開けてついていった。

－－－－－－－－－－－－－－－－

お互い無言で保健室に向かう。

慎太郎の背中はいつもとは違って何か寂しそうで、俺はつい慎太郎の名前を呼んでしまった。

北「慎太郎...」

慎「ど、どうした...？」

前を向いていた慎太郎がクルッと体の向きを変えて俺を見る。

北「あ....いや、そのっ....」

昨日のこと、謝りたいのになかなか言葉が出てこない。

頭をかきながらどうしていいか分からずにいると、

慎「俺...やっぱり無理...」

北「え......」

その言葉にビックリして顔を上げると、慎太郎は深刻そうな顔をしていた。

やっぱりもう...俺とは関わりたくないのだろうか？

胸が締め付けられるような苦しさを感じた。

慎「俺...北斗と話さないなんて絶対に無理。そんなの我慢できない！もし北斗が先生のこと好きなら俺.....応援する。だから俺とはずっと友達でいて？お願い...」

慎太郎は俺に深々と頭を下げてきた。

北「俺は...先生じゃなくて...」

グッと拳に力を込める。