センチメンタル (ページ26)

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「今日の体育からは、体育大会の練習をやらせて下さい。」

朝の会議中、教科担当の一番偉い人にそう言われた。

この学校は5月にやるのか....

普通どの学校も9月とか10月な気がする。

自分の学校の体育大会なんてあまり覚えてない。

記憶に残ってないと言うことは、楽しくなかったのだろう。

優「今日から体育大会の練習しろよー」

そう言うと生徒たちはダラダラと移動し始めた。

ちょっとだけ休憩～なんて思いながら、木陰を見つけてそこに腰を下ろす。

そこからは運動場全体を見渡す事ができた。

二人三脚をやっている人もいれば、100メートル走の練習をしている人もいる。

その中でも俺の目が止まったのは、やはりアイツだった。

運動場の真ん中で、樹と慎太郎と何か話しているようだった。

ジーっとその様子を見ていると、パチっとアイツと目があった気がした。

ヤバっ！そう思いすぐさま目をそらす。

北「先生もサボりですか...？」

突然隣から声がしたので驚いてビクッと肩が動いた。

優「ビックリしたな！いつから居たんだよ！」

北「結構前からいましたよ？」

優「う、嘘だ！」

そんな気配感じなかった！

北「先生、ずっとどこか見てボーっとしてたから気づかなかったんですよ」

優「そ、そうか？」

え、俺そんなボーっとしてた？

慎「コラコラゆうごっち！北斗と仲良くしない！」

デカい声が聞こえたと思ったら、目の前には慎太郎と.....

慎「ゆうごっちはジェシーとラブラブしてて！」

隣にはアイツがいた。

見上げるとまたしてもアイツと目があった。

(さっき合ったかは知らないけど...)

なんだか気まずくて慌てて目を逸らした。

ジ「先生」

頭上からアイツの声が俺を呼んだ。

優「な、なんだ。」

恐る恐る顔を上げると、

ジ「リレーのバトン、借りれますかね？」

リレーのバトン...？

優「え、あ、ああ！借りれるよ！今持ってくるから！！！」

俺は慌てて立ち上がり、職員室にまで走った。

少し不自然だっただろうか。

って言うか今俺、何を期待していた...？

今は授業中。

そんなこと分かってる。

でも俺...何考えてた？

頭を振って無理やり考えないようにした。