センチメンタル (ページ3)

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朝、みんながぎゅうぎゅう詰めの満員電車に揺られ登校しているというのに、俺は優雅に車で通勤。

っと言っても朝練があるので、気分は憂鬱...

なぜ部室の鍵開けのために、わざわざ早く行かなければならないのか。

車を降りて、そのままグラウンドの方へ向かう。

すると....

ボールを蹴る音が俺のいる駐車場の方にまで響いてきた。

俺よりも先に来て練習をしてるとは....関心だ。

思いっきり褒めてやろうとグラウンドに向かって声を出そうとした...が、俺はそれを止めた。

なぜなら、あの男がボールを蹴っていたから....

意外と真面目なのか....？

高校時代の俺の姿と重なった。

俺は背後からゆっくりと歩み寄る。

別に音を出して歩いてもいいのだけど、何となくそれが出来なかった。

優「頑張ってんじゃん！」

ある程度近づいたところで声をかけると、アイツの体は氷のように固まった。

え.....は！？

凍っちゃうくらい俺が嫌い.....？なのか！？

しばらく俺も別の意味で固まっていると、

アイツはゆっくりと体を動かして振り向いた。

ジ「......」

無言でマジマジと俺を見つめてくる。

優「.......」

すごく気まずかった。

もしかしてコイツ....俺の事見えてない？

え、俺生きてるよな！？

するとアイツはボールを片手で持ち、どこかに消えていった。

優「ぇ.......」

何なのあいつ....？

なんだか声をかけたのがバカバカしく思えた。

次の日もその次の日もアイツはたった1人で朝練をしていた。

俺は、彼には声をかけずに部室の鍵を開け、そのまま職員室に戻るようにしている。

きっとアイツにとっても、俺にとっても関わらない方がいい気がした。