無言の愛情 ページ25
向井サイド
俺には、お兄ちゃんがいた。
強くて、優しくて、カッコいい自慢のお兄ちゃん。
俺に嬉しいことがあったら、一緒に喜んでくれた。
俺に困ったことがあったら、真っ先に助けてくれた。
だから…
康「にいちゃんっ！！」
キャンプの時、川で溺れた俺を助けようとお兄ちゃんが飛び込み、
俺は岸に上げられたけど、お兄ちゃんはそのまま流されて、
お兄ちゃんが川から出たのは、それから2日経った時だった。
冷たい水に丸2日つけられた身体は、氷みたいに白くて、
気づけば、お兄ちゃんの大きい体は、小さい壺になっていた。
ｺﾝｺﾝｯ
母「康二、ご飯だよ。」
康「…いらない。」
母「食べないと頭も体も回らないよ。」
康「ええもん…」
母「…… 準備はしてるから、食べたくなったら降りといで。」
お兄ちゃんがいなくなってから、俺は部屋にいることが多くなった。
学校も2､3日に一回とか、トイレとお風呂以外家族とも顔を合わせないとか、
とにかく、人と関わることに恐怖心を抱いてしまった。
仲良え友達とか、学校の先生とか、近所のおばちゃんとか、
今まで近くにいた人が、お兄ちゃんみたいにいなくなるんやないかって、
俺のせいで、消えてしまうんやないかって…
そんなこと考えてたら、うまく喋れんくて、
なら1人の方が迷惑かけないって思って、引きこもり気味になった。
少し心が軽くなったら、学校に行ったり、友達と遊びに行ったりしたけど、
俺の育ったこの地は、お兄ちゃんとの思い出で溢れていて、
すぐそこにいるようでいないお兄ちゃんの姿が辛くて、
逃げるように、東京の中学に通うため1人上京した。
大阪とは違う騒がしさを持つ東京は、妙にチカチカしてて、
人の歩く速さに無理やり追いつきながら街を歩いた。
たまにぶつかって転びそうになったり、あまり美味しくない水に口を窄めたりしたけど、
身近な人との思い出のない分、少しだけ過ごしやすかった。
もちろん、大阪から来た妙なテンションの俺はクラスに馴染めなくて、
ちょっとだけ浮いた存在として認知された。
ただでさえ人と関わることに対する恐怖心が抜けないから、それは苦痛。
それでも俺は、忘れたかった。
周りの人の高い悲鳴。
流れ続ける川の音。
家族の泣き叫ぶ声。
ブルーシートの隙間から見えた、真っ白い腕。
全てから、耳を塞いで、目を逸らしたくて…
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夢幻姫(プロフ) - たわしさん» ご注文承りました！楽しみに待っていてください！ (8月3日 18時) (
レス) id: 5f094c6618 (このIDを非表示/違反報告)
たわし(プロフ) - ふっかさん以外が不良に捕まっちゃって、ボコボコにされてふっかさんがキレて不良をボコボコにするお話が見たいです！良ければお願いします！ (8月3日 18時) (レス) @page39 id: 504ea1ad1c (このIDを非表示/違反報告)
夢幻姫(プロフ) - はてなさん» ご注文承りました！ありがとうございます、楽しみにしていてください！頑張ります！ (7月29日 22時) (レス) id: 5f094c6618 (このIDを非表示/違反報告)
はてな - 不良に追われる少年をみんなが助けようとするけどあべちゃんが捕まっちゃって皆がキレるようなことして不良がぼこぼこにされるお話みたいですっ､キレるようなことは夢幻姫さんにお任せでいいですか？いつもいろんな小説楽しみにしてますっ！！頑張ってください (7月29日 21時) (レス) id: f01603c33d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢幻姫 | 作成日時：2023年5月1日 20時
