貴方は愛を誓いますか？【SLH】【antsa】【短編集】

スーパーヒーロー(RYO) ページ30

Aサイド

＿｢お前俺の彼女だろ！？言うこと聞けよ！？｣

その言葉は、まるで呪いのようだった。気に入らないことがあれば暴力。いわゆるDV。なぜこ
んな男と付き合ったのか。別れたくても別れる
ことの出来ない。呪いの赤い糸。

でもある日突然、私の目の前にヒーローが現れ
たのだ。いや、ハッピーをもたらす男の子…と
表した方が、彼にはぴったりかもしれない。

｢俺がAを幸せにするから！｣



＿｢カッコよかったなぁ…｣

R｢ほんと！？あん時の俺緊張してたんよー？｣

その時のハッピーボーイさんが彼、りょーくん｡
呪いの糸を切ってくれた、私の恩人。

｢りょーくんに救われたよ、ありがとね。｣

R｢Aに辛そうな顔させたくなかったの！助
けてほしいって目が訴えてたんよ？｣

｢でも間違いなくヒーローだったよ｣

そんなヒーローが今は私の恋人で、幸せを与え
てくれてるなんて、あの時は考えられなかった
ハッピーな出来事。正直、信じ難い。

R｢俺Aのヒーローになれとる！？｣

｢もちろん。｣

りょーくんは、嬉しさが隠しきれていないのか
しっぽをふっている様子が目に見える。

R｢でも俺、あの男は許せん！Aのことをい
っぱい傷つけといて俺にビビって逃げてさ！？
今は薄れてきたけど、痣とかも残してさぁ！！｣

私のことを優しくぎゅっと包み込んでくれるも
のの、耳元で騒ぐりょーくんは幼く見える。

R｢その男の痣で埋まるくらいなら、俺のキスマ
ークで埋めたいくらいだもん！！｣

｢…はぇ…？｣

りょーくんはいたって真剣みたいだったけど、
私からしたらとても恥ずかしい言葉だった。

R｢ねぇ、だめ？｣

どうしてそんな寂しそうな目で私のことを見つ
めるの。こんなの、答えたくなっちゃうじゃん｡

｢だめ、じゃ…ない…ですっ…｣

あの人はそんなことしなかった。私のことを玩
具かのように扱って、愛されてるなんて思えな
いような。でも彼は違う。彼からの愛情表現は
私からしたら眩しいくらいなもの。

R｢…怖かったら言って…？｣

｢うん。｣

りょーくんはどこまでも優しい人だ。ちゅうっ
という音と、息遣いだけが聞こえるこの部屋。

｢んっ…｣

R｢…はぁっ、綺麗なマークできた｣

りょーくんの笑顔は艶めいていた。これは、い
つもとは少し違うりょーくん。こうやって私は
彼の魅力に溺れていくんだろうな。

近くて遠い(mst)→←・続き(KARASU)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す