貴方は愛を誓いますか？【SLH】【antsa】【短編集】

諦めの悪い男(KARASU) ページ14

KARASUサイド

俺は好きな物には一直線やし、諦めも悪い。そ
れは、俺が好きになった人に対してもや。

K｢好き。｣

｢ダメ。｣

K｢何で。｣

諦めの悪い俺に、呆れたようなため息をこぼす
A“先生”｡そう｡俺が好きなのは先生なのだ

｢頭がいい西浦くんなら分かるでしょ？｣

K｢分からへん。好きなんやもん。｣

｢西浦くんは生徒。私は教師なの。｣

パソコンのキーボードを冷静に打つ姿も好きや
なぁ。なんて思っていると、A先生がばっ
とこちらを見て、優しくデコピンをする。

K｢痛っ！保健室の先生なのにダメやろ！｣

｢西浦くんだけ。こんな扱いはね。｣

K｢…そーゆーこと言うから余計好きになるんや｣

さっきの言い方は明らかに特別扱いと同じやん｡
ダメだと分かってても好きになってしまうやん｡
これはほんまに自覚がない先生が悪いと思う。

｢…西浦くんって、さ。｣

A先生の文字を打つ手が止まった。

｢カラスみたいだよね。｣

K｢え？｣

カラスみたい。そんな言葉に驚いて、口がポカ
ーンと開いていた。それを見て微笑む先生。

｢ずる賢いところとか、西浦くんそっくり…笑｣

K｢そこだけなんかい｣

｢それだけじゃないよ。カラスってすごいじゃな
い？色んな環境でも生きていける。空をかける
時、黒い光がピカって光るのがカッコイイ。｣

カラスについて語る先生は、なぜだか楽しそう
で、俺とカラスを重ねている。それで楽しんで
いると思うと、俺まで機嫌が良かった。

K｢俺もカッコイイってこと？｣

冗談で言ったつもりだった。けど先生は真剣で…

｢もちろん。西浦くんはカッコイイわよ。｣

予想もしていなかった言葉に顔が火照った。

｢そういう所は可愛いんだけどねぇ｣

先生が俺の頬をむにっと掴んだ。もう無理や。
俺は先生の手首を掴んで手のひらにキスをした｡

K｢卒業したら待ってて？｣

｢…プロのダンサー目指すなら、カラスみたいに
生きてほしいなぁ。それを隣で見届けられたら
いいんだけどね。待ってるわよ、西浦くん。｣

先生の言葉はどこか甘くて、優しくて。俺のダ
ンスを1番に応援してくれてる人。ダンスで忙し
いと友達もなかなか出来ないんやけど、だから
こそ、先生が近くて…遠い存在だった。

K｢俺は諦めの悪い男やで？｣

卒業まで…あと数ヶ月。絶対諦めへん。

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