番外編 ホワイトデー 迅 １ ページ29
無事に任務が終わり、さぁ家帰って貰ったお菓子を食べよ〜と廊下を歩いていた時だ。
「わっ」
「・・・・・」
「やっぱあんまり驚かないか」
「いや、もう心臓バクバクですけどなんですかコノヤロー」
いきなり現れたのは迅悠一だった。突然なんだコノヤロー。
「もう、なんですかいきなり。帰ります」
「待って待って待って」
「いーやー、はーなーしーてー」
「あれ？デジャヴ？」
知らんがな。いいからそこをどくんだ迅悠一。私は帰ってお菓子食べるんだ！
「まっ、いっか。今日も任務お疲れ様。はい、これ」
と迅さんから手提げの紙袋を受け取る。紙袋のロゴが有名なチョコレート会社ものだ。
「あ、ありがとうございます」
「うん。宇佐美からこのお店のチョコレートAちゃんが好きだって聞いてね」
「はい、好きです」
栞に聞いたのか、じゃあ間違えることないな。わかってる〜栞〜。
「今日貰ったお菓子一気に食べない方がいいよ。太るから」
「・・・・」
デリカシーのない男だ。イラッとしたのでバシッと足をける。くそぅ、よけやがって。
「迅さんサイテーです」
「嘘・・・、じゃないけど忠告」
「うるせぇ、太るなんてわかってるわ」
「口悪くなったね・・・」
「そんな子にはこれあーげない」とさっきから背中に何か隠してたのが出てきた。そ、それは・・・。
「わ、私が好きなキャラクターのぬいぐるみ・・・」
「そっ、これもホワイトデーのお返しなんだけど・・・」
こ、こいつ・・・・。私の中で謝罪とぬいぐるみの天秤が揺らぐ、最近調子が悪い天秤がそれはもう大きく揺らぐ。そしてガターンと音がした。
「す、すみませんでした」
「いいよ。俺も悪かったしね」
「ホントですよね」
はい、っとぬいぐるみを受け取った私。ぬいぐるみって子供っぽいと思われるかもしれないが、好きなキャラクターに大人も子供も関係ない。
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作者名：tOuka | 作成日時：2019年12月17日 22時
