バレンタイン ５ ページ21
さて、残り二つだが、・・・・・誰にあげるか検討もつかない。
「(待って・・・、私そんなに友達いないんだった・・・)」
もうダメだ。これは家に帰って私の胃袋に処分決定で。
Uターンして帰ろうとした時だった。
「Aさーん！」
この数少ない私の名前を呼ぶ人物は・・・・。
振り返ってみるとやつはいた。元気に手をブンブン振っている佐鳥が。
「げっ、佐鳥・・・・」
「げっ、ってなんですか！佐鳥ですよ〜」
「なぜおまえこんなところに」
「偶然っす！」
偶然は・・・、仕方ないな。
「なに佐鳥、暇なの？」
「えっ、いや・・・。そういうわけじゃないんですけど・・・」
そういうわけじゃないってどういうわけだ。そしてなにソワソワしてんだ。女子か。
「Aさん！今日はなんの日か知ってますか？」
「うん、知ってるけど・・・(え、なに突然？馬鹿にしてんのかコラ)」
「ですよね！」
「あ、うん(ですよねってなんだ)」
そしてなにそのわくわく顔は。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・？」
なにこの無言。なんだろう、すっごい期待に満ち溢れた瞳。私は何を期待されているんだろうか。
「それじゃ、私行くね」
特になにもないのでんじゃ、と帰ろうとした時だった。佐鳥が「えっ！？チョコはっ！？」と声を上げる。はっ？チョコ？
「チョコ？・・・あ、コレ？」
「そう！それです！」
「あー、これね。誰にあげよっか迷ってんだよねー。どうしよう」
「それなら佐鳥にください！！」
お願いしますっ！！と90°のお辞儀と両手を出された。まぁ、他にあげる人いなかったしいいかと思って両手の上に袋を乗せると、バッと顔を上げめっちゃ嬉しそうに「ありがとうございますっ！！」と言われた。
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作者名：tOuka | 作成日時：2019年12月17日 22時
