episode124 ページ38
──気がつけば、夜。
シンと静かな暗闇の中トントンの部屋の前に立ち軽く深呼吸をして、胸に抱える金属をギュッと抱きしめる。
「トントン、来たよ」
tn「……ん、入っておいで」
ノックしつつ扉の向こうへ声をかけると、聞きなれた彼の声が優しく私を中へと呼びかけた。
部屋の中へと入るとちょっとしたおつまみやら酒やらが既にテーブルの上にセッティングされていて、彼の座る向かいの椅子へ腰を下ろすように促された。
目の前に座る彼はシャワーから上がったばかりなのか、いつも軽くセットされている髪が崩れほんのりと水分を含み、黒いTシャツにスウェットと随分と緩い格好をしていた。
なんだかいつもより幼く見えるトントンの顔を見つめていると、「なんやねん…」と少し恥ずかしそうに顔を背けてしまった。
「ふふ、なんかいつものトントンと雰囲気違うから見とれちゃった」
tn「はぁ〜、お前ほんま急にそういうんやめてくれや。てかその荷物なんやねん、でかない？」
「ん？あぁこれ、トントンへのプレゼント」
tn「お、俺の？」
大きな溜息を吐き出しながらトントンは先程からチラチラと視線を送っていた抱き抱える荷物を指さし、不思議そうにそれへと手を伸ばし受け取った。
そして、軽く巻かれた布やタオルをしゅるしゅると几帳面に外し顕になったソレに目を輝かせた。
tn「おお！かっこええな！これ、もしかして…」
「そう、新しい義足！」
tn「はぇ〜。こんな立派なもん貰ってええんですか」
「トントンの為に作ったやつだもん。当たり前でしょ？」
tn「……そか」
嬉しそうにはにかみ優しい手つきで義足を撫でるトントンの凄たに、こちらまで嬉しくなる。
「段々義足に慣れてきたからね、次のステップです。機械鎧(オートメイル)の前段階の義足だからしっかり慣らしておいてね」
tn「前段階…か。……なな、これ今付けてもええ？」
「今？いいよ。足出して」
ん、と座ったまま素直に差し出された彼の右足を、「よいしょ」としゃがみながら脇に挟む。くるくるとズボンの裾を太腿まで捲ってやり、逞しい彼の太腿と義足との結合部の金具に手をかけた。
「今までのヤツは誰でも簡単に着脱出来る簡単なタイプだったけど、この新しい義足は慣れるまでちょっと大変かも」
tn「そんなムズいんか？」
「んー…ちょっと複雑な感じ」
結合部分の肌が荒れてないのを確認し投げかけられた言葉に答えながら、ガチャンと彼の義足を外した。
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蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» そう言っていただけて嬉しいです！まだまだ彼らの辿り着くべき未来への道のりは途方もなく長いものですが、最後まで見守っていただけたら幸いです(*^^*) (2021年3月9日 23時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 蛇狐さん» 126話では心がキュゥってなりました。そうだよね、そうやんねって身を捩りながら一緒に喜びました！ (2021年3月5日 19時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます！無邪気に喜ぶtnを意識したのでそう言っていただき私もニッコリしました^^* (2021年3月5日 3時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - tnが嬉しそうでこちらもにっこりしてしまいます。ありがとうございます！ (2021年3月2日 22時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - にら。さん» ありがとうございます！今のところTwitter垢はここで公開するつもりは無いのです…気が向いたらIDを出すかもしれませんが、もし夢垢があるのならば回覧板が回ってくるかもしれませんのでもしご縁がありましたらその時にでもよろしくお願いします。 (2020年12月29日 16時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年12月11日 16時
