episode122 ページ28
最初は純粋にAちゃんと楽しく酒を飲みたいと思っていたようだが、段々とトントンのその思いが揺らいでいるように感じた。
僕自身も人の心なんて読めるわけないからよく分からへんけど、日に日に何故かトントンが焦っているように僕の目には見えた。
頑なに目を合わせないトントンに苦笑しながら、僕は目の前の男に断りを入れつつ新しい煙草に火をつけた。
tn「……俺にも、煙草くれ」
ut「……は？」
tn「ん、」
すぅー、と胸いっぱいに有害物質を取り込み悦に浸っていると、突然そんな言葉がトントンの口から聞こえ、思わず目を丸くする。
確かに昔…人付き合いで少しだけトントンが煙草を吸ったりしていたが、それは何年も前の話だし、こんな自ら進んで“煙草を吸う”なんて信じられない。
しかし、現に僕の煙草の箱から真新しい一本の煙草を取り出して「ん、」と火をつけろと目で訴えている。
ut「ほんまに吸うの？まあキャスターやからショッピくんやシッマのよか吸いやすいとは思うけど、……え、ガチで？」
tn「ええからはよ火ぃつけろや」
ut「ァ、ﾊｲ」
機嫌がさらに悪くならないうちに急いで煙草に火をつけてやる。トントンは火が着いたのを確認するや否や、そのままぎこちなく口に持っていき深く息を吸った。
そんな慣れないのにいきなり肺で吸うなんて……と呆れながら目の前の男を見ると、案の定少し苦しそうに咳き込み、煙をケホケホと口から吐き出していた。
ut「あーあー、言わんこっちゃない。……ほらトンち、それ残り捨てな？」
tn「ケホッ、い…や、勿体ない…やろ」
ut「はぁ…まったく、強情やなぁ」
煙草は楽しみながら吸うのがいちばん美味いのに、そんな辛そうに無理やり吸ったら煙草が可哀想やん。
眉間に皺を寄せて煙草を口に加えるトントンに肩を竦める。変なところで頭固いからなトントンは。
ut「まぁ、満足するまで吸えばええんとちゃう？」
tn「……ケホッ、…すまん」
ut「トントンが何にそんな戸惑ってるのか知らんけど、あんまり溜め込んじゃアカンで？モヤモヤをどこかで吐き出さんと、一気にボーンってくるから」
tn「…そう、やなぁ」
口から離して中指と薬指に煙草を挟み、指を組んだトントンは、ふっ、と視線を落とした。
──人間、そんな強いもんやないんやでトントン。
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蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» そう言っていただけて嬉しいです！まだまだ彼らの辿り着くべき未来への道のりは途方もなく長いものですが、最後まで見守っていただけたら幸いです(*^^*) (2021年3月9日 23時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 蛇狐さん» 126話では心がキュゥってなりました。そうだよね、そうやんねって身を捩りながら一緒に喜びました！ (2021年3月5日 19時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます！無邪気に喜ぶtnを意識したのでそう言っていただき私もニッコリしました^^* (2021年3月5日 3時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - tnが嬉しそうでこちらもにっこりしてしまいます。ありがとうございます！ (2021年3月2日 22時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - にら。さん» ありがとうございます！今のところTwitter垢はここで公開するつもりは無いのです…気が向いたらIDを出すかもしれませんが、もし夢垢があるのならば回覧板が回ってくるかもしれませんのでもしご縁がありましたらその時にでもよろしくお願いします。 (2020年12月29日 16時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年12月11日 16時
