episode119 ページ25
今回の話し合いで少々意見がすれ違うトラブルがあったものの、無事に解決し、“私が囮になる事”が決定した。
エーミールさんが次に大学に赴く予定があるのは一週間後。
この一週間、作戦の流れを徹底的に頭に叩き込む事に加え、身を守る術の訓練、そしてそれに並行して技術部での開発を進める方針で行くことが決まった。
gr｢Aは大体そんな感じで。エーミールも少しだけ銃の訓練でもしとけ。一応ゾムを護衛に、ショッピと鬱の射撃勢を少し離れたところに配置しておくか｣
os｢まぁ…それが妥当やな｣
tn｢ゾム一人で捌けるんは分かるけど、もしもの為にも少しだけ離れたところに他の奴ら隠しとかん？｣
gr｢そこら辺はゾムの部隊に任せようと思う｣
em｢人数によって私とAさんのコースが変わってくるので、後日ゾムさんを呼んでまたここら辺の事は改めて詳しく話し合いましょうか｣
ぽんぽん次々と作戦の形が出来上がる様を間近で見つめながら、ほぅ、と感嘆のため息をはき出す。
この人たち、さっきみたいに意見が食い違うととことんすれ違うのに、こうやってしっかりと意見が噛み合うと恐ろしい具合に完璧な作戦を作り上げていく。
これ私必要なのだろうか。
そんなことを思っていると、突然グルッペン総統に名前を呼ばれた。
gr｢A、お前は人撃てるか？いや、殺せるか？｣
｢…殺せます｣
gr｢……あぁお前、戦争経験者か｣
｢軍学校を卒業して直ぐに隣国との戦争と…その後に海を挟んだ向こう側の国との戦争の二回ですね。人手が足りなかったんでしょうね、まだ配属先が決まってなかった新兵にも出陣要請が出てきた程でしたし｣
──記憶に蘇るのは何年前かの光景。
黒煙が立ち上り灰がまう黒い空。人の燃える焦げ臭い。仲間なのか敵なのか分からない弾け飛んだ臓物に、炭化した遺体。初めて人の命を撃ち抜いたのは確か軍学校を卒業して三ヶ月の頃。塹壕から相手を銃で撃ち抜いたのが最初。
殺らなきゃ殺られる世界を、私だけじゃなくてこの人たちも見てきたんだな。
｢避けて通るのが……一番、なんですけどね｣
gr｢まあ何事にも避けられない“時”というものがある。覚悟を決めていけ、A｣
｢…はい｣
小さく返事をして再開される話し合い。
視線を感じて隣を見るとトントンと目が合ったが、私は彼の目から逃れるように視線を逸らす。
彼の目には人を殺した私はどのように映っているのか…それを知る勇気は、まだ私には無かった。
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蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» そう言っていただけて嬉しいです！まだまだ彼らの辿り着くべき未来への道のりは途方もなく長いものですが、最後まで見守っていただけたら幸いです(*^^*) (2021年3月9日 23時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 蛇狐さん» 126話では心がキュゥってなりました。そうだよね、そうやんねって身を捩りながら一緒に喜びました！ (2021年3月5日 19時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます！無邪気に喜ぶtnを意識したのでそう言っていただき私もニッコリしました^^* (2021年3月5日 3時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - tnが嬉しそうでこちらもにっこりしてしまいます。ありがとうございます！ (2021年3月2日 22時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - にら。さん» ありがとうございます！今のところTwitter垢はここで公開するつもりは無いのです…気が向いたらIDを出すかもしれませんが、もし夢垢があるのならば回覧板が回ってくるかもしれませんのでもしご縁がありましたらその時にでもよろしくお願いします。 (2020年12月29日 16時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年12月11日 16時
