episode95 ページ1
ﾐｶ｢俺の軽率な行動でアンタに怪我をおわせてしまった。そしてアンタの信用を欠いてしまった。もうし、わけ……ありませんでした、｣
｢…………｣
包帯でぐるぐる巻きになった両手をぎゅっと握りしめ、頭を下げるミカエルを見下ろす。みんながみんな口を揃えて彼を“いい子”と呼ぶ理由がわかったかもしれない。
どんなに憎悪を向ける相手だとしても、きっぱりと割り切って自分の非を認めて頭を下げることが出来る。中々大人でも出来ないことをこの子はこの年でやってのけることが出来るのだ。
誠実……なんだな、彼は。
ミカエルは暫く頭を下げ、ぱっ、と顔を上げると気まずそうに視線を下に向けポツポツと言葉をこぼした。
ﾐｶ｢あんなに、俺、アンタに辛く当たってたのに…アンタは怪我してまで俺を……｣
｢……ミカエル、君が思うより私は優しくないよ。間に合うと判断したから助けただけで、もしそうじゃなかったら私は君を見捨ててた｣
ﾐｶ｢……ッ、｣
｢多分ズールなら自分の命が危ないってなっても君を助けていたと思う。ミカエル、君がズールを凄く思うのと同時に、ズールも君を凄く大切に思ってるんだ、だから──｣
ﾐｶ｢わかってる、わかってるッ。でも俺はずっとあの人の背中を追って、あの人の隣に立って恩返しをしたくてッ。なのに……ッ｣
私の言わんとすることを察したのか、ミカエルは頭を振りながら悲痛に叫ぶ。ミカエルがズールの為だと思っていた事はズールは望んでいなかった。それで彼は裏切られた、とでも思っているんだろう。
でも違う、違うんだミカエル。
ﾐｶ｢今までズールの為に頑張ってきた、ガキだと馬鹿にされても俺は、頑張って、｣
｢その頑張りは全然無駄じゃないよ｣
ﾐｶ｢ッ｣
｢ミカエルが望んでいなくても、ズールは君が将来的に幹部補佐になる事を望んでる。ズールは君を信じて、君だからと後継に選んだんだよ。いちばん信頼してるミカエルだから、｣
ﾐｶ｢うそ、だ。そんなの｣
わなわなと震えて自分を過小評価しすぎる幼い彼の頭を私はわしゃわしゃと撫でる。この子は少しだけ、ほんの少しだけ視野が狭い。だから些細なことを見落としてしまってる。
｢支え方なんて色々あるんだよ？後ろから支えてあげるんじゃなくてさ、前から引っ張って支えてあげてもいいんじゃない？｣
ﾐｶ｢前、から…｣
｢幹部補佐になってもそうじゃなくてもズールに恩返しは出来るんだよ、ミカエル｣
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蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» そう言っていただけて嬉しいです！まだまだ彼らの辿り着くべき未来への道のりは途方もなく長いものですが、最後まで見守っていただけたら幸いです(*^^*) (2021年3月9日 23時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 蛇狐さん» 126話では心がキュゥってなりました。そうだよね、そうやんねって身を捩りながら一緒に喜びました！ (2021年3月5日 19時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - すみれいんさん» ありがとうございます！無邪気に喜ぶtnを意識したのでそう言っていただき私もニッコリしました^^* (2021年3月5日 3時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - tnが嬉しそうでこちらもにっこりしてしまいます。ありがとうございます！ (2021年3月2日 22時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - にら。さん» ありがとうございます！今のところTwitter垢はここで公開するつもりは無いのです…気が向いたらIDを出すかもしれませんが、もし夢垢があるのならば回覧板が回ってくるかもしれませんのでもしご縁がありましたらその時にでもよろしくお願いします。 (2020年12月29日 16時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年12月11日 16時
