episode56 ページ9
ut「……と、言うわけで、クラレ先生とAちゃんを見失いましたｺﾞﾒﾝﾅｻｲ」
gr「……………………………そか」
os「こんな動揺したグルッペン久々に見ためぅ」
なんとも言えない顔で項垂れる鬱と補佐官の二人。事情が事情なので責めることが出来ず、俺はどう声をかけていいのか分からず少し固まってしまった。
そんな俺に揶揄うように笑いかけるオスマンに少しばかり殺意が湧いた。
……にしても、
gr「そう来たか〜……」
os「今日から一緒に夕飯食べてもらおうと思ったけど……それまでに帰っくるかなあの二人…」
gr「あー……、鬱、あとでラボに連絡してくれ」
ut「了解」
幹部や補佐官たちにAの紹介も兼ねて少し豪勢な夕食を用意しようと考えていたのだが……明日に持ち越しになりそうだな。
そんなことを考えながら、目の前の三人を執務室から出し、溜息を吐きながら頬杖をついた。
gr「トントンの件もそうだが…まさかクラレ先生もとはな。案外世間は狭いな」
os「それもそうやけど……どう思うグルッペン」
どう思う──か。
俺は数日前にゾムから貰った紙束を鍵のかかった引き出しから取り出し、ペラペラと捲った。
“父親との古い友人”
鬱から聞かされたクラレ先生のこの言葉。
gr「ま、ほぼこれと何かしらの関わりを持っとるだろうなクラレ先生は…」
os「どうするん？」
目を薄く開き、小首を傾げてあざとく笑うオスマンを鼻で笑い、俺はバサリと手に持っていた紙束を机に捨てた。
gr「多分知っとったとしても喋ってくれへんやろ」
os「だよね」
gr「まあ、クラレ先生が昔から知っとる友人と言ってたしな、“今のところ”は俺たちに害はないやろな」
os「Aちゃんなら大丈夫やろ」
gr「だといいんだが」
俺の言葉を聞いて黙るオスマン。そして、会話に飽きたのか髪を弄りながら鼻歌を歌い、扉へと向かう。
そんな気分屋なトルコ帽の男に肩を竦め、俺は机の上の紙束を引き出しに戻した。
今日中に目を通さなければ行けない書類の山々に気が遠くなりながら羽根ペンにインクをつけていると、「あ、そうや」と扉を開けたオスマンが俺を見た。
os「今日の事トントンに伝えんでええの？」
gr「……………めんどくせぇ」
os「今日の夕食会、トントン楽しみにしとったから早めに連れ帰んないとアカンね」
──これは何がなんでも連れ戻さないとな。
そう言って俺たちは、げんなりと頭を抱えたのだった。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
