episode55 ページ8
kr「いや〜ロボロ君から連絡があった時はもしかしてとは思ったけど…まさか本当にAちゃんだったとは！」
「え、ちょ？？」
嬉嬉として私を抱き上げたままクルクルと楽しそうに回るクラレ先生。彼の腕を掴みながら困惑していると、クラレ先生はキョトンと首を傾げた。
そして「あ！」と声を上げると私をゆっくり地面へと下ろした。
私はそのまま腰が抜け、ふにゃりと地面に座り込む。
ut「何やっとるんやクラレ先生！Aちゃん大丈夫？」
kr「最後に会ったの10年以上前だし見た目も名前も変わってるからそりゃ分からないよね」
ut「この人全然聞いとらん！」
顎に手を当てブツブツと何かを呟いたかと思うと、クラレ先生は私との間に入った鬱さんを押し退け、目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
kr「もう覚えてないかもだけど、私は逆夜レラク、君の父親との古い友人。今はヘルドクタークラレとして我々国の科学部のトップとやらをやってる科学者だ」
「逆夜…レラク……」
kr「うん、ほら…」
そう言って外された狐の面。
その瞬間、懐かしい小さい頃の思い出が走馬灯のように頭を駆け巡った。
毎年私の誕生日の日に持ってきてくれた大きなショートケーキ。
月明かりの薄暗いベッドの上で聞かせてくれた面白おかしい話。
手を伸ばすと眉を下げて嬉しそうに抱き上げてくれた大きな手。
そうだよ、なんで忘れてたんだ。
「レラおじさん！」
kr「…！……覚えててくれたんだね」
そう言って微笑んだレラおじさんは、狐面を付け直すと優しく私の頭を撫でた。
kr「レラおじさんか、懐かしい響だ。時の流れとは凄いものだな、あんなに小さかった君がこんなに大きくなって…」
「そりゃ、もう大人だもん」
kr「ふふ、そうだね」
そう言って笑ったレラおじさんは立ち上がると呆気に取られるオプロイテさんと紫さんと鬱さんにニコリと笑って私の手を握った。
kr「……ということで、ちょっとAちゃん借りるね。夜には返すから！」
ut「え……ちょっ、クラレ先生ッ！？どこ行くねーん！！」
手短に言い切ったレラおじさんは私の手を引いて勢いよく店から飛び出した。
戸惑う鬱さんの叫び声に後ろを振り返ると、店に残され呆然とする三人の姿が見え、取り敢えず私は小さくペコリと頭を下げた。
人の波を掻き分け、ひたすら前へ走り続けるレラおじさん。久しぶりに見た彼の猪突猛進ぶりに、私は懐かしさで胸がいっぱいになったのだった。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
