91 ページ14
「……と言うことで、今回の処刑玉砲は不参加ということになりました」
sha「……前々から思っとったけど、お前ってつくづく運ないよな」
『返す言葉もない』
あの後、一番下まで転げ落ちた私は慌てて追いかけてきたトントン君によって保健室へと運び込まれた。
どうやら複数箇所骨折していたようで、自然治癒力を魔術で上げたとしても処刑玉砲には間に合わないと養護教諭の悪魔に言われてしまった。
治療が終わり、先生が担任に知らせてくると席を離れたタイミングで、騒ぎを聞き付けたシャオロン君とゾム君が保健室へと駆けつけた。
そんな彼らに事の訳を話し、冒頭への会話に至ったわけだ。
ひたすらに頭を下げ続けるトントン君を宥めながら、興味深そうに足のギプスをつつくゾム君の相手をしていると、シャオロン君が首を捻りながら顔を顰めた。
sha「その怪我、魔術で全部治してもらったらええやん」
至極真っ当なシャオロン君の意見に、私は苦笑しながら首を振った。
『あんまり魔術で傷を治しすぎると自然に怪我を治す力が無くなっちゃうんだって。私はここ最近それが多かったせいで、魔術で治すと逆に危ないから、自然治癒力を上げる補助魔術をかけるだけにした方がいいって言われた』
sha「あー…あん時のか……」
苦虫を噛み潰したように顔を顰めたシャオロン君はガシガシと頭を掻いた。
どんよりと暗い空気になってしまった保健室。
まぁ、起きてしまったものはしょうがない。
過去は変えられないんだから。
そう心の中で思い、私は溜息を吐きながら暗い顔をして俯いてる3人を見やる。
そして──
『えいッ』
tn「いだッ！」
sha「あぎゃ！」
zm「イッタァッ！」
ガチガチにギプスで固められた右手を彼らの脳天に振り下ろした。
優しく殴ったつもりだったが、ギプスによって結構な威力になってしまったらしく、3人は涙を浮かべながら頭を抑えた。
sha「な、何するねんッ！」
『私に構わないで練習いきなよ。いい成績残したいんでしょ？』
幾分か明るくなった空気に満足しながら、私は口を開いた。
今回のこれは誰が何を言おうと私のせい。3人が気負うはずないし、責任を感じる必要も無い。
『私の分まで頑張って。応援してる』
そう言葉をかけると3人は目を見開き、そして笑った。
私は私なりに、彼らの力になるよう精一杯サポートしよう。
今回の主役は彼らだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2297人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蛇狐(プロフ) - 椿さん» ご指摘ありがとうございます！予測変換で表記がおかしくなってしまったのかもしれないです。教えてくださりありがとうございます！ (2021年1月3日 19時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 悪魔周期じゃなくて悪周期じゃありませんでしたっけ (2021年1月3日 18時) (レス) id: 37e6844d54 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - もえさん» ほんとだ！ご指摘ありがとうございます！！ (2021年1月3日 8時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 122の「たまに学校におる若い教師」がshaではなくrdになってます！(小声) (2021年1月1日 9時) (レス) id: 9b854a058e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - sakuyo1122さん» 初めまして、コメントありがとうございます！頑張ります！ (2020年12月8日 1時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月13日 17時
