episode5 ページ5
「やっほー、生きてるー？」
「タミーラ……」
ベッドに腰掛けボゥッと天井を眺めていると、この薄暗い場所にそぐわない明るい呑気な声が聞こえてきた。
牢屋の鉄格子へ目を向けると、ラフな軍服に身を包んだ女性……私の軍学校時代からの腐れ縁であるタミーラがふわふわとした笑顔を見せ佇んでいた。
ﾀﾐ「うわぁ、またあのカビだらけのパン食べたの？私がご飯持ってくるの分かってんだから食べなくてもいいのに」
「食べないと怪しまれるから…」
ちょっと気まづくて顔を逸らしながらそう言うと、タミーラは顔を歪め、その美しい銀髪を鬱陶しそうに耳にかけながらその場にしゃがみこむ。
そしてゴソゴソと懐を漁り、取り出した袋を私に向かって牢屋の中へ投げ込んだ。
重い鎖をじゃじゃらと鳴らしながらそれを受け取り袋を開けてみると、袋の中にはギッシリ詰まった温かい柔らかいパンたち。
冷えきった牢屋でかじかんだ指先にパンの温もりがじんわりと染みわたり、ほぅ、と思わず息が零れた。
ﾀﾐ「感謝しなさいよね」
「うん、ありがとう。にしても大丈夫？毎回罪人の私にこんなことしてるけど……」
ﾀﾐ「大丈夫よ。知ってるでしょ、私はあの人たちのお気に入りって」
そう言って力なく微笑む彼女に、私は何か言葉をかけようと口を開くも、何も言葉が出ず、黙って与えられたパンに齧り付いた。
彼女は軍の上層部のお気に入りである。
能無しの豚たちに股を開き甘い声をかける、女の武器を使った賢い生き方だ。
別に彼女の生き方を否定するつもりは無い。彼女の使える武器を使ってて努力して手に入れた地位なのだから……
それに彼女が上層部にかけあってくれたおかげで、こうして今だに私の首が繋がっているわけなのだから、本当に感謝しかない。
ﾀﾐ「大丈夫よ、絶対にあなたの無実を証明してあげるから」
「頼もしい限りだ」
もぐもぐと頬張りながらそう言うと、タミーラは嬉しそうに頬をゆるめた。
そんなこんなで暫く二人でくだらない事を話していると、ガシャンと入口の方から音がした。
誰かが近づいて来る。
タミーラは素早く私から食べかけのパンを奪い取り懐へ隠し立ち上がった。
ﾀﾐ「じゃあねA、また来るわ」
そう言って彼女は背を向けて振り向くことなく歩き出した。
そんな彼女と入れ違いになるように、今度は一人の若い青年が鉄格子の前に立っていた。
誰だこの人。
初めて見る顔に、私は思わず顔を顰めた。
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蛇狐(プロフ) - イチゴダイスキさん» へへへ、ありがとうございます！(神様では)ないです。 (2020年12月13日 15時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴダイスキ - え？え？え？神様ですか？そうですね？なんでこんな神作品作れるですか！！もう無理好キィ(鼻血) (2020年12月12日 20時) (レス) id: f02fd4c99a (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゼネヴァンスさん» ありがとうございます！これからも隻脚をどうぞ宜しくお願いします！v (2020年8月10日 1時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
ゼネヴァンス(プロフ) - お気に入り1000人以上になりましたね！！！おめでとうございますっ！！！！ (2020年8月10日 0時) (レス) id: d6da2f5e2e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 紗稀さん» ひぇ……とてもありがたいお言葉ありがとうございます！読者さんや相互さんのお陰で成り立ってるようなものなので……笑 頑張って更新していきます！v (2020年8月9日 23時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年7月29日 17時
