episode32 ページ33
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──苦しい
やけに息苦しさを感じて瞼を開く。
なんだか体を圧迫されてるような……そんな感じだ。
電気が消えており、部屋は真っ暗で何も見えない。
ぼぅ、と寝起きの頭で天井を見ていると、二つの目玉がキョロリと私を見た。
「ひぃッ……んぐ、ん、んんンッ！？」
「しぃー、静かに」
口を手で塞がれ、助けを呼ぼうにも声が出ない。
点滴の痛みを我慢して、腕に力を入れて口を塞ぐ手を退けようとするも、ビクともしない。
暗闇に目が慣れてきて目を凝らすと、フードを被った男が私に馬乗りになっていた。
フードの影になり顔がよく見えないが、キョロリとこちらを見下ろす翡翠色の瞳が楽しそうに歪んでいるのがわかる。
「ふーん、お前が例の特技兵か。もっとゴツイ男だと思っとったわ」
「ン〜！んン！」
「ちょ、大人しくしてくれへん？俺も急いで帰って来たから疲れとんねん」
さっさと用済ませて飯食いたいんやけど、と口を尖らせると、目の前の男はゴソゴソ懐を漁り何かを取り出した。
それでポイと私の胸に投げると男は口を塞ぐ手を退けた。
「ロシフ国の基地内を色々見て回った後に、お前の部屋で必要そうな物を纏めとったらタミーラっちゅう女に見つかってな、黙っとくかわりにコレをお前に渡せって。餞別って言うとったわ」
「タミーラ…が……？」
男はそう言うと私の腹から降りて近くの椅子に座った。
「“たまに遊びに行く、自分のやりたいように生きて”…やってさ」
彼の言葉を聞き、ふわりと笑うタミーラの笑顔が脳裏を過る。
私は寝ていた体を起こし、胸元に放り投げられた物を手に取る。
綺麗な私と同じ瞳の色の石のネックレス。
──あなた、綺麗な瞳ね。まるで宝石みたい！
初めて出会った時に彼女から言われた言葉。
それを思い出し、思わず涙が頬をつたう。
ぽたり、ぽたり、と止まらない涙に私は目を擦る。
それを黙って見ていた目の前の男は、ポンポンと赤子をあやすように背中を叩いてくれた。
「ごめ……ごめんなさい、こんなみっともない姿を……」
「いや、ええで。無理くり連れてきてもうたのは俺らなんやから。ほんますまんかった」
申し訳なさそうに目を伏せた男に私は首を降る。ぽろぽろと零れる涙を拭いながら、私は目の前の男に向き直った。
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蛇狐(プロフ) - イチゴダイスキさん» へへへ、ありがとうございます！(神様では)ないです。 (2020年12月13日 15時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴダイスキ - え？え？え？神様ですか？そうですね？なんでこんな神作品作れるですか！！もう無理好キィ(鼻血) (2020年12月12日 20時) (レス) id: f02fd4c99a (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゼネヴァンスさん» ありがとうございます！これからも隻脚をどうぞ宜しくお願いします！v (2020年8月10日 1時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
ゼネヴァンス(プロフ) - お気に入り1000人以上になりましたね！！！おめでとうございますっ！！！！ (2020年8月10日 0時) (レス) id: d6da2f5e2e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 紗稀さん» ひぇ……とてもありがたいお言葉ありがとうございます！読者さんや相互さんのお陰で成り立ってるようなものなので……笑 頑張って更新していきます！v (2020年8月9日 23時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年7月29日 17時
