【2434】鬼が住むか蛇が住むか (ページ14)

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それにしてもなんだか最近聴いたことがあるような声だ

「ライバーかな？」

心の中で呟いたつもりが声に出ていたらしく、黒ずくめさん(仮)が軽く目を見開いた。

『最近デビューさせていただきました……
あの、もしかして勇気ちひろ先輩ですか…？』

「そうだよー！！はじめまして！うめずちゃん？」

『初めまして！あ、そうです楳図Aと申します
勇気先輩に知っていただけてるなんて、光栄です……』

立ち上がった黒ずくめさん(仮)改め、めずめずはとても身長が高くて、中身を知らなければカッコいい女の人だ。
この見た目であんな配信するんだもんなーギャップすげぇなー
と、こちらに向かって拝むめずめずを眺めながらぼんやり考える。

『あ、そうだ打ち合わせあるんだった
すみませんお声がけありがとうございました！助かりました』

「ううんー体調悪いんだったらスタッフさんに言いなよ？」

『いつものことなので、大丈夫です！』

ちひろの中の心配度が大幅にレベルアップした。

『あ、そうだこれ…お詫びと感謝の気持ち、と言ったらなんですが』

そう言って差し出された物は

「つ、る……？」

カエルのような脚が生えた絶妙にキモい折り鶴だった。

『はい！さっきティッシュで作ったんですけど、上手く出来たので貰って下さると嬉しいです！』

善意しか感じない満面の笑みで渡されたら、受け取る以外の選択肢は無くなるじゃないか。

『では失礼しますお疲れ様です』

「うん、またねー」

丁寧に頭を下げて去って行くめずめずに手を振って見送りながら、鶴の置き場所に頭を悩ませた。