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うろうろ ページ9

外を見るとまだ明るかった。
(ちょっと歩いてこようかな・・・)

他の人たちはまだ話してるみたいだったから、私は邪魔をしないようにそっと外へ出た。
建物の造りを覚えるのは割と得意なんだ、どうしてか町の造りを覚えるのは苦手なんだけど。

「・・・、・・・」

喉を押さえて声を出してみようとするけど、出てくるのは空気の塊だけ。
いっこうに私の声は出ないようだった。

それにしても、町というのはかなり華やかなのだな・・・と1人感傷にふける。

(あの甘味処、行ってみようかな)

ぱっと目についた甘味処に入る。
喋れない私にも丁寧に接してくれた。いいお店だ。
桜餅のような不思議な髪色の女の人がいた。
屋敷の人達にお土産として、お団子を買った。

甘味を頂いて、他にも町をうろうろしていると、空はいつの間にか橙色になっていた。

(まずい、奥の方まで来すぎた・・・)

目印にしていたお店もしまってきているようで、いくつか見当たらない。

(どうしよう、どうしよう・・・)

人も減ってきて、みんな迷子の私に目もくれない。
声を出せないから助けを求められないし、このまま当てずっぽうに歩いても戻れる気がしない。
何せ私は色々な路地を曲がってきてしまっているので、真っ直ぐ戻れば大丈夫・・・でもない。

いよいよ人が居なくなった。

ヒタヒタと後ろから足音がする。

仕方ない、この人に道を聞いてみよう。
普通の人が蝶屋敷を知っているかは分からないけど。

くるり、と振り返ると

「・・・子供か?」

・・・鬼?鬼なの?
人間には見えない異形の姿があった。

「美味そうだなぁ・・・久々の人間だ」

ダメだ、ダメだ、振り返らなければ良かった。
鬼は人を食べるんだ、お父さんだって食べられたんだ、あんなに強かったお父さんが。

「・・・っ、・・・・・・!」

なんてことだ。
私は道の砂利につまずいて転んでしまった。

「・・・、・・・っ、」

助けて、と唇を動かしても空気が漏れ出るだけ。

「・・・!」

お団子。
潰れちゃった。
鬼が食べてる。
蝶屋敷の人達の為に、私を助けてくれた人の為に買ったのに。
お前なんかに食べさせるものじゃなかったのに。

あぁ、もう食べ終わっちゃった。

必死で走る。走って逃げる。走って、走って、走って、肺が痛い。
夜の空気は冷たくて、喉もやられてきた。

「水の呼吸、壱ノ型。水面斬り」

「・・・っ!」

鬼狩りの人→←髪の毛



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トムジェリ(プロフ) - 初めて読ませていただきました!これからも更新頑張ってください!! (2020年6月6日 0時) (レス) id: cc774e2595 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - にゃんこさん» 作者は可愛くないですが可愛い女の子が大好きなので!これからも可愛いを生産できるように頑張ります!コメントありがとうございます! (2020年3月15日 9時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ - 全て可愛いで構成されたお話ですね。思わず鼻血が(( 作者様自身が可愛いからきっとこのようなお話を書くことが出来るのですね!作者様は可愛い生産機ですね!!!!??? (2020年3月15日 0時) (レス) id: a2fa91df99 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - みぃさん» コメントありがとうございます!楽しんで読んでいただけているようで何よりです・・・! (2020年3月8日 19時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - いやー読んでて楽しいですね!!!続き楽しみにしてます!この先もたくさん書いてください!みんなに愛されてみてるこっちも幸せですぅ 次の作品も楽しみにしてますので、よろしくお願いします! (2020年3月8日 12時) (レス) id: a7a20ec0a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリー | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月19日 21時

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