08.Naive(3) ページ9
「それじゃあ、これで失礼するよ」と言って、石切丸さんは穏やかに去っていった。
…本当に不思議なオーラを持った人だなぁ。
気を取り直して、扉の取っ手を捻った。
静かに開いた扉の奥は、何度か見た若草色の光景そのままだった。
…ベッドに横になっている青江くんを除いて。
青江くんは、よく見る水色のパジャマ姿だった。
普段はハーフアップにしている髪はおろされていて、一見すると眠っている美少女のようだ。
私は近くにあった椅子に腰掛けて、青江くんの肩をできるだけ優しく揺すった。
「…青江くん、もうすぐ夕御飯だよ」
「…」
「……青江く―――っ!?」
「…君はもう少し警戒心を持たないとダメだよ?」
――青江くんを見下ろす形だった筈の景色は、いつの間にか逆転していた。
目と鼻の先にあるのは、怪しく光る金と紅の瞳。
お風呂に入っていないせいか、ほんのりと汗の匂いがした。
「…あ…あおえくん……!?」
「僕が寝ていると思ったのだろう?残念だけど、石切丸さんとの会話の辺りから目が覚めていたんだ」
「そ、そっか…」
(…じゃなくて!これ!!)
正直に言おう。
美形が、近くにあって、非常に、恥ずかしい。
青江くんは未だに私を元の位置に戻そうとしない。
もぞもぞ動いてもみるが、年下とはいえ日頃から鍛えている青江くんにかなう筈もなく…。
一瞬にして万策尽きたわけである。
「…あの、恥ずかしいので、離していただいても…?」
「どうしようかなぁ、Aさんから来ることなんかもう無いだろうし…もう少し堪能させてくれたりはしないの?」
「だ、だって!」
…どう見ても、青江くんは楽しんでる。
最悪だ。年下にからかわれてる。虚しい限りだ。
というか「堪能させて」とは!?これ堪能するようなものじゃないよね!?
相変わらず青江くんの手は、離そうとしてもピクリとも動かない。
青江くんはくすくす笑ってどうしようもないし、どうしたらいいのか分からなくなっていた。
「だって…なぁに?」
「…い、一緒に寝るくらいなら、少しなら、言ってくれればいつでもやれるし…」
「……君、本気?」
「………本気、です」
沈黙。
そして、青江くんは小さく吹き出した。
「あっはは!君は面白いことを言うねぇ!」
「だってこれしか解決方法なさそうだし!!」
焦る私を見て、青江くんは更に笑った。
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白うさ(プロフ) - 四ツ谷さん» Dear 四ツ谷様 あ、ありがとうございますうぅ…!!!!(半べそ)まさか私めにそんなお言葉がかかるなど思っても見ませんでした…!!長らく席を開けていたことをどうかお許しくださいませ_|\○_ 源氏兄弟もこれから頑張っていただきますので、ご期待くださいませ♪ (2018年3月7日 12時) (レス) id: d3e312d938 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷 - あと、すごく個人的なんですけど髭切、膝丸すっっっごく大好きです!!!これからの展開がとても楽しみです、白うさぎさんの作品大好きです!そして白うさぎさんも好きでs((殴 (2018年2月5日 23時) (レス) id: bf4a486fcd (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷 - はじめまして!!!四ツ谷です!続編おめでとうございます!!!白うさぎさんの作品更新されればすぐに見てますこれからも頑張ってください!! (2018年2月5日 19時) (レス) id: bf4a486fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白うさ | 作成日時:2017年9月9日 10時