Dr.ロレイスの提言２７ ページ29
9月15日 15:11
管理者:Dr.ロレイス
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完成だ！
TD-1が歩き、走り、訓練を終え、警察と共に都市へ向かって行った。訓練期間は一週間で十分だ。元々遺伝子に組み込んであるから、訓練は武器に慣らすためのようなものだな。
スクラップDNAと言うものがあってね。そこにコードを打ち込む感じで、これらの技能を追加したんだ。コードは本当はサンシャの方が得意なんだが…見付からないんだ。やるしかない。制服は警察のカタログからいくつか参考を用意して、サイトAのデザイン課に用意してもらった。動きやすく丈夫で、娘に似合うものだ。肌が出ないようにしつつも、都市に溶け込めるように。しかし人々に分かるように。
TD-1の中に少々異なる特性を持つ個体があった。その個体だけ骨格に植物細胞の特徴があったんだ。細胞壁があり、人の骨よりも遥かに強く、私が過去に苦戦した強靭性を持つ個体だ。さらには娘ではなく息子である。私はこの個体を〈TD-2〉とし、TD-1の変異種として保存した。TD-2の骨格なら重装備に耐えられるだろう。筋肉量なども優れている。月桂樹の潜性か、ダフネの父母どちらかの遺伝か？ダフネが月桂樹となった今、知る術はないが…私としては幸いだ。動物的変性が起こったのなら、しかもそれが良い方向なら歓迎する。一応検査はするけれどね。良い面が強化された反動で、どこかが欠損しているかもしれないからな。
st-98都について知らせが来ていた。最近襲撃の頻度が多くて気になっていたんだが、どうやら各都市にも被害が出始めているらしいんだ。あのレーダーや観測拠点の影響は、都市の交通状況や防犯などに影を落としている。その分警察とTD-1が頑張ることになるんだが、問題はそれだけじゃないようだ。キュベレーと思われる者達が活動した痕跡に、勧誘でもされたのか行方不明者もチラホラ出ている。行方不明者には若者が多い。感受性豊かな若者はこの手の騒ぎに惹かれやすいのかもしれないな。デモと言っては大袈裟だが、それに似た心境になるのだろう。理解はできる。
非日常がそこに開いているんだ。だが、日常はなによりも尊い。争いよりも理解と妥協を頼みたいものだな。
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