Dr.ロレイスの提言２２ ページ24
8月3日 11:16
管理者:Dr.ロレイス
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日記に施したセキュリティだな。まずは…どこから書けばいいんだろうか。これは私の日記だが〈研究レポートや報告書とは異なる形で、後世の誰かに何かを提供できるかもしれないから〉と言う意味もある。今はその意味合いの方が強い。誰かに、貴方に宛てて書いている。貴方がどのような世界に暮らし、どのような文明を持っているのか分からない。私達よりも高水準かもしれない。全く異なる文明かもしれない。できる限り、私にとって当たり前と感じることでもできる限り記しておく。
昔は日記と言えば紙の媒体を指したらしい。本やノートなどのことだ。だが私達はタブレットを片手に、電子上で全てを終わらせている。その為、この国ではセキュリティが発達した。公私の境を強固に分類し、ハッキングやウイルスを弾くんだ。特に個人的な範囲についてそれは強く働く。最たるものは財団のサーバーに住まうプログラム〈ウロボロス〉だろう。その詳細はセキュリティの関係で公にされていないが、堅牢なのはよく分かる。物理的襲撃の影響を受けても、ハッキングの標的にされ続けても、一度も破られたことがない。さらに学び続け、相手へと攻撃を返してしまう。電子の海で行われている攻防だ。
で、私の日記に施されているプログラムは〈クリプトス〉と言う。プログラムと言うより記憶媒体の名前だが、まぁ記憶媒体の特性によって同じ効果を発揮しているので差はない。クリプトスと言うのは指輪だ。銀色の指輪で、ラレナフ家に伝わる…と言っては大袈裟だが、とても大切な品だ。この指輪が記憶媒体だと気付いたのは研究員になってしばらくした時だった。当時はどのように使えばいいのか分からなかったが、今なら分かる。クリプトスは〈世の中から隔離されたサーバー〉だ。私だけの。誰もアクセスできない領域である。
おそらくオーパーツだろう。
ウロボロスすらも喰らいつけぬ堅牢の守りだ。だから日記や研究レポート、ニュース記事などを指輪に移し、またコピーしておいた。何が君の役に立つか分からない。だから世の中のこと、私の研究のこと、その他のことを今後も入れておく。君にクリプトスへアクセスする方法があるかは分からないが、一応入れておく。
困ったらパウサンドの人達を探すといい。はるか昔に別れたが、元々は同じ血筋だ。きっと助けてくれる。
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