Dr.ロレイスの提言 (ページ23)

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Dr.ロレイスの提言２１ページ23

7月19日 12:25
管理者:Dr.ロレイス
サイトC:フロアF/S-324.45

研究についても書く。日記に施したセキュリティについてもね。だが、もう少し考えさせてほしい。

昔のデータを引っ張り出して、色々と読んでいたんだ。実家の庭、旅行の写真、誕生日ケーキとプレゼント、勉強のファイル、教材もまだここに保存されていた。そのうち整頓しないと。それでな。引っ張り出して気付いたんだ。どうにも私は…所々の記憶が掠れている。不自然に。歳によるものではない。

幼少期の記憶は掠れるものだ。人により差こそあれど、幼い頃の記憶は一場面だけ残り、あとは掠れて忘れてしまう。それが普通だ。だが私は幼い頃の記憶もそうだが、他の記憶についても掠れている。研究員になってからの記憶だ。私は昔から日記を付けていたらしく、それによればドアを叩くあの音は秘密基地を作った時に決めたルールらしい。サンシャと決めた、二人だけのルールだ。それを…こんな記憶を忘れるだろうか？

ゴーヤが嫌いなのにも理由があった。食卓に並んだゴーヤの炒め物に虫が混ざっていて、それ以降ダメになったらしい。確かそのゴーヤはお隣の…老夫婦が育てていて、前までは美味しく食べていたようだ。これは仕方がないことだな。今は食べれているし大丈夫だろう。

問題なのはここからだ。
研究員となって以来、私は何度か上役や、ワクチンについて調べていた。記憶にはないんだが、書きかけの日記にそんな痕跡が残っていた。しかし財団のサーバーに保存してある記録を確認したところ、それらについてのデータがきれいに消されていた。私が消したとは思えない。誰かが消した…とも…思えない。仮に他者が私のデータを覗き、編集や消去をする場合、セキュリティをクリアする必要がある。ログだって残る。

ログを残さず、セキュリティに縛られず、編集や消去の権限を持つ人物は…上役とサイト管理者くらいだろう。

なぜ？

思い出さなければ。そして何のせいで記憶が掠れ、どうやってデータが消されたのか調べなければ。誰がやったのかも。誰にも知られないように。方法はある。慎重に進めよう。