Dr.ロレイスの提言１８ ページ20
7月7日 16:47
管理者：Dr.ロレイス
サイトC：フロアF/S-324.30
黒い旗を持った者達について調べて来た。最近活動が活発になっているらしく、お陰で思っていたよりも沢山のことが知れたよ。まだセキュリティレベルが振り分けられてないみたいだったから、何とかIDと、ちょっとばかりの小細工をしてライブラリに潜り込めた。でも今度調べる時には見れなくなってるかもな…。
まず、彼らの名はキュベレー。つまり〈知識の守り手〉と名乗っているとのことだ。キュベレーと言えば、アロコスと同じく円環を司る神の名だな。死と再生の神だ。あるがままを受け入れるアロコスも死と再生を避けられないものとして扱う。避けられないからこそ、どう迎え入れるか受け入れるか…みたいな話を一度聞いた。昔だけど。しかし知識の守り手と名乗る者達が研究員を襲い、襲撃に乗じて情報を漁るとはおかしなことだ。彼らよりも財団の方がよほど知識を守り集め、ライブラリに保存しているだろうに。あぁ、すまない。話が逸れてしまうな。とにかく、キュベレーについて調べた事を記録しておく。
彼らの旗は真っ黒だ。保存されていた画像では真っ黒に見えた。写真が撮られた場所は十分に明るく、襲撃による火災まで起きているのだから光源については足りている。しかしそれでもこの旗は真っ黒だ。加工が施された布地でも使っているかのように、見事なまでに黒の無地。しかし解析にかけると旗の中央に濃紺の円が見付かった。人の目では黒と濃紺の差など分からないな。旗を持つ人物は小柄だ。そしてローブで体のほとんどが隠されている。僅かに確認できる手を解析したところ、これは人ではなくロボットだとの結果が出た。ロボットがキュベレーなる組織を率いているのか？とも思ったが…可能性はある。可能性はあるが、あれらは本部システムに従って活動しているので、自我が芽生えたとしても本部システムが消去するはず。バグやエラーと称される現象に対する、強制処理がされるんだ。
自我が芽生えると仮定して、しかしこの辺りについてはいまだに答えが出ていないから何とも言えないな。物が意識を持つのか？人工頭脳は脳の代わりになるのか？命とは？これらの議論はまだ続いている。
どうやら上役はキュベレー達の掲げる黒い旗を〈黒常旗〉と呼んでいるらしい。タグにそう書いてあった。これはサイトAか、その上役の事務的ミスだ。私は偶然、運良く見かけただけ。幸運だな。
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