Dr.ロレイスの提言13 ページ14
8月16日 13:15
管理者:Dr.ロレイス
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ゴーヤはあんまり得意じゃないんだが、ここの食堂のは食べられる。苦いけれども悪くない。給仕室には入れ代わり立ち代わり、部下達が好きに過ごしている。一応昼は十二時から十三時なのだが、職柄不規則になるものだ。手が空いた時に食べ、休み、また研究室に戻って行く。仮眠をしている者もいる。一日中研究しているのだから、時間を決めても意味がないってことだな。
それで、だ。
明日、少々複雑な予定が入った。研究者である私としてはありがたい申し出なのだが、相手の、特にその…母親の…気持ちを想像すると…何とも言えない。昔、私の母も同じ経験をしたと聞いてな。それもあって…よく分かる。私に姉がいたかもしれない、そんな可能性があったことを今でもたまに思い出すからな。申し出はとてもありがたい。同時に心苦しく、また悲しいことだ。これから部下達を集めて保存の用意を行うが、明日はくれぐれも慎重に、相手に敬意と感謝を伝えて受け取らなければ。遠くの都市から来てくれるのだ。食事や…お礼の品を用意して、物々交換ではないけれど、対等の、対等以上の感謝を返すべきだろう。待ち望んでいた日常を諦め、それだけではなく我々に提供してくれる。
研究を始める随分前から提供者を募ってはいた。しかし内容が内容なだけに電話が鳴ることなく、反応は何もなかったんだ。だからまさか…提供者を思えば適切ではない表現だが…こんなにも理想的な提供が受けられるとは、本当に信じられない。受け取って、保存して…今の研究を進めて成果を出す。研究者としての義務だ。
しかし…複雑にはもう一つ理由がある。分からないでもなく、おそらく…どれだけ時間がかかるか分からないが不可能ではないだろう。私の研究自体、その影響を受ける。程度は分からないが、外見については確実に影響を受けるだろう。
私は金華猫と同じ研究をしている。人工生命だ。
サンシャのロボット達は外包地を担う。私のは都市を担う予定だ。都市に武器を内蔵したロボットが歩き回るのはどうにも受け入れられないからな。いや、そんなことはいい。
…できるだけ、外見を似せた方がいいのか…しかし…それを量産した時…。複雑だ。
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