常勝神話３【ONE PIECE】 (ページ15)

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第二話…セモアディゼルページ15

砲弾が海面を叩き波を生み、その波が船を揺らし続けている。波と波がぶつかり漂流物が揉まれ、しかし波だけでは終わらずに、沈んだ砲弾が大きな爆発を巻き起こした。は？と周りの海兵達が明らかな困惑の表情を浮べる中、スモーカーとハインは泡立つ海面を見下ろしてやんやと話し合う。

「稀に賢い海賊がいてな。シャボンディ諸島に応援行った時に、真っ赤になるまで加熱した砲弾を使ってこう言う…海水による急速冷却での水蒸気煙幕やら、ささやかな爆発を起こす妙技を見た。だがここまでの爆発は初めてだ。ハイン、純正火薬の流れはどうなってる？」
「ここ数年、ガレーラカンパニー以外には提供されていません。」
「ガレーラから流出するとは思えねぇ。なら細工か何かあるな。ティミの技術ってところか。」

ぶわりと紫煙が吐かれたのを最後に、葉巻の火が消される。打ち付ける雨による視界不良は酷くなる一方であり、このままでは海賊船を見失ってしまいそうだった。まぁセモアディゼルの海賊船団に逃げる様子は見られないが、それでも早く片付けた方が良い状況である。

「見失う前に詰めるぞ。」
「乗り込むのですか？」
「いや、横っ腹に穴を開ける。セントエルモの大砲なら、木造の海賊船程度は敵じゃねェよ。」

詰めるぞ！とスモーカーが声を上げれば、後続の軍艦は即座に反応する。戦意溢れる野太い声は雨の中に響き、海賊を威圧するかのようだ。

ゴォッと蛾の目の風が強まり、高波が軍艦へと打ち付ける。白波が装甲に弾かれて砕け散り、泡立つ波間に飲み込まれては新たな波となって立ち上がる。あまりの揺れに新兵達は使い物にならず、軍艦から落ちないよう船にしがみつくだけで精一杯なようだ。熟練の将校達は新兵達を気にかけながらも、雨に霞む海賊船団を見失うまいと軍艦を進める。それぞれの号令が飛び交い、砲撃音が轟き、打ち付ける雨は強風に散らされ、帆が破れそうなほどに張っていた。

その騒がしさの中で、スモーカーは異常な音を聞き取る。同時に、強風に顔を俯かせている後輩を船縁に押し込め、電伝虫片手に大声を発した。

「全艦一斉砲撃、今すぐにだッ！」