常勝神話(ワンピ)、ゴアでの選択2 ページ7
「鹵獲品大量と。」
「分かってる。あのままは引き下がれないから港を潰して、中身をもらってきたんだよい。」
「その点は評価していますよ。話に聞く限り…良い選択肢はそれしかないでしょうし。実際鹵獲品の確保はとてもありがたい。しかし隊長達は戦争をご存知ですよね。」
「そりゃあ。」
それを聞いたハインは何かを考え、ゆっくりと口を開く。
「ハービンジャーと麦わらは戦争を理解していません。」
「あいつらは中核だよい。港を襲う際、力になった。」
「…暴発する武器はただの不良品ですよ。」
トン、とテーブルを叩く音が止まる。
確かに彼らは大きな戦力だが、勝手に突き進まれては困るのだ。彼らが勝手に突き進み戦法を乱せば乱すほど、違うところに皺が寄る。集団は作戦に沿って動いてくれるものの、突発的な変更には弱い。大きな集団になればなるほど行動に遅れが出るものだし、伝令にも時間がかかるのは当たり前。
だから作戦に沿わせなければならないのだ。時間厳守とはそう言う意味である。
「…邪魔をしてくる味方は嫌なものです。」
ハインにとってこのような味方は敵と大差ない。むしろ敵認定したい程だ。リスクでしかない者達に気を配るような余裕も時間もない。身を削って食い破った外皮を、こんな形で不意にされるのは納得できない。
「ゴアの中心地点を落とすはずでしたが？」
「敵は今頃物資困窮だよい？」
「目的の違いです。説明したでしょう？」
「…関係のない庶民を巻き込めるか？」
「巻き込めないのですか？」
質問が質問で返されて、お互いに口をつぐむ。
ハインは一つため息をついた。
ゴアで失敗したため戦況は少々厳しくなる。これは彼らの暴発が原因なのだが、本人達は理解していない。隊長達ですらこのザマだ。
「…そのうちツケがきますよ。全てに限界が存在するのですから。」
「だが獲物は同じだよい。」
「……ゴア自体は獲物ではありませんよ。国ではないのです。疎開民ですよ。」
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作者名：poidf（ポイドフ） | 作者ホームページ：なし
作成日時：2022年1月3日 1時
