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アビン ページ45
ベンレージ公に言わせれば、島船など国の形をした海賊である。国に損害を与える海賊など、当然の事ながら看過できない。
なので、かの大戦を模倣しようとしている。
世界を相手に勝利を収めた大戦を、オハラのために活用しようとしていた。その結果交渉派閥と交戦派閥が生まれ、意見がまとまらないまま、第三議会堂で発表もといそれぞれの主張を繰り返しているのだ。
「対岸の火事。君にはまだその程度の認識なのかね？残念だ。時代のせいかも分からないが、昔に比べて国を想えない者が増えたな。」
わざとらしく首を振り、残念だと言うベンレージ公の背後で何かが動く。瞬間、アッティスは逃げるように議会堂を出ると、我が家を目指して大通りを駆け抜けた。騒々しく玄関を開けてテーブルクロスをひったくり、ハム、バター、パン、缶詰、棚に入っている食料をありったけ包み込む。
数分とせずに、表の大通りから追っ手の声が聞こえてきた。ベンレージ公の部下である治安維持部の職員が道行く人々を押し分けて、荒々しく真っ直ぐにアッティスの自宅を目指している。一秒毎に威圧感あるドーベルマンの鳴き声が迫り、アッティスはパニック一歩手前の頭で考えた。
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作者名：poidf（ポイドフ） | 作者ホームページ：なし
作成日時：2022年1月3日 1時
