ネタ、下書き置き場 (ページ37)

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常勝神話(ワンピ)、悪食の癖ページ37

そうして生き延び、彼女は今日を迎えている。

「何があろうと勝ちますとも。」

真っ白の軍服をまとう彼女は、久方ぶりの笑みを浮かべていた。これが戦力のたった一部、ほんの一欠片でしかないと知ったドーベルマンは敵意に燃える双眼で元同僚を睨みつける。必ずやこの悪を食い破らんと、猛犬の能力者は奥歯を噛み締めた。

笑うハインは胃の痛みを無視し続ける。
きっと彼女の悪食癖は、生きるために身に付けたものなのだろう。食うに悩み、どうしようかと周囲を見渡したウロボロスは、ついに人間へと手を伸ばした。覚醒前であればさすがに人は…と避けたかもしれない。しかし覚醒後、基本の素質をウロボロスとした彼女は、猫がネズミを狩るように人間を狩った。敵味方の区別はつくし、食べて良いものではないことも理解している。しかし〈食べる気が起きない〉状態にはならなかった。牛や豚と同じ、ただの肉としか感じなかったのだ。

昨日食べたのは誰だったか。
一人で食事を済ますのは何回目か。

(痛い…まだ人の体は…胃が慣れてない…。)

いつの頃からか、常勝は虚しく空に響くだけになった。皆が謳う常勝神話だが、司令本部だけは現実をよく見て首を振るっている。これは常勝なんかではなく不敗神話だ。似ているが全くの別物。

それでも夢を見せている。
現実を伝えたところで、もう後戻りなどできないのだ。ならば死ぬ間際まで夢を見せた方が幸せだろうとの暴論。

(常勝…ねぇ…。)

言ってしまえばよくある話だ。
常勝を綴る神話自体は人類史上、特に珍しくはない。普遍的に見られる話で、登場人物や敵こそ様々だろうが、配役や勝者は決まっている。王道故に有名だから人々は信じるのである。