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ポケモン(多分)、ハンロンの剃刀 ページ28
だが彼女達も理解していた。
自分らはこの国の構造上、確かに無能の部類である。王と貴族が主導権を持つ王国の中、生まれの分からない身の上は頼りなさすぎた。しかも女は特に浮草だ。軍が欲するのはポケモンと正確な意思疎通ができるとされるコネクト候補か、もしくは屈強な男児である。野犬などに興味がないことは十二分に理解していた。 だから、元より少し壊れて育った彼女は笑う。悪意などこれっぽっちもありませんよとばかりに笑って、国の花であるスイセンを散らすのだ。
スイセンの丘に血溜まりが広がり、腹を空かせた駄犬達は動かなくなった敵兵を囲んで踊っている。流れているのはオクラホマ。今のところ掛け金は小銭の範囲で済んでいる。まぁ椅子取りゲームなど、賭け事としては物足りないからその程度しか遊べない。どうせやるなら、命を賭けねばつまらない。
彼女は踊る部下達を静かに眺め、ふと真顔で目を薄めた。瑠璃の双眼に暗い影が落ち、無能と罵られている者とは思えない邪智がチラリと覗く。
「…〜♪」
暗い悪知恵も一瞬のこと。春の陽気に気を許して、小さな声で歌を口ずさみながら愛刀の柄にそっと手を置き、今日死にゆく者達を嘲笑う。
どいつもこいつも。
無能な奴ほどよく吠える。
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作者名：poidf（ポイドフ） | 作者ホームページ：なし
作成日時：2022年1月3日 1時
