ネタ、下書き置き場 (ページ23)

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fgo、かくして彼らは夢を見た(仮題) ページ23

いつも通りに検診が終わり、入れ替わるようにマシュが診察室へと入っていく。暇になった立香は結果を見ることなく、廊下のベンチに腰掛けた。

「おぅ、マスター。結果はどうだった。」
「！」

犬を思わせる笑みを浮かべ、片手を上げて挨拶するのは最古参の一人でもあるクーフーリンだ。アニキと呼んでいることもあってか、立香は実の兄同様に信頼を寄せている。面倒見が良い英霊はマスターの健康診断書を見て、珍しく真面目な表情を浮かべた。

「…神性？おいおい、人間に神性はつかねぇはずだよな。」
「ダヴィンチちゃんもそう言ってた。もしかしたら影の中のアヴェンジャーが干渉したかもだって。一応再検査してみる。」
「それならいいんだけどよぉ…。」

うーん、と神妙な面持ちで健康診断書を見つめるクーフーリンは、チラリとマスターを見て口を閉ざす。

カルデアの技術力は理解しているし、職員全員が立香の安全を第一に活動しているのも知っている。その傍らで世界の崩壊を止めるため、歪んだ時空を直そうと尽力している。呼び出された英霊としては彼らの力になってやりたいし、カルデアが最後の砦と言われては…それこそ英雄の血が騒ぐと言うものだ。しかし“血が騒ぐ”等との単純な考えで済んでいたのは初期のみであり、進むにつれて様々な特異点が現れるようになった。その分、マスターの元に集まる英霊も大幅に増えてくれた。

しかしこれが問題なのだ。
少し前、特に変わりのない昼の事。ダヴィンチの研究室前を通りかかった際に古参の意見も聞きたいと呼び止められ、ホームズとダヴィンチの考察会に参加させられたことがある。彼らの会話は難しいものだったが、いつもの様にお遊びの思考をしている訳ではなかった。

“ある種の神である英霊と、こうも多くの関係を結ぶマスターの身に影響が出ないなど有り得るのか？しかも負けを知らない人類最後のマスターなど、言葉は悪いが…すでに人ではない、いつか人ではなくなるかもしれない。その可能性は？”

当たり前と言えば当たり前だった。

後に鬼や悪魔を使役できる者に聞けば、明確な決まり事を教えてくれた。狐を使うのなら顔を隠し、服には香を濃く濃く焚き付け、何があろうと自分の血の味を知られるなかれ。そして彼らの主人として、狐と同じ化生の者を演じるべし。

つまり素性を隠し、人ならざるモノにならねば危険が多いのである。