第六話 万人彩色 ページ34
「…当時の方々がどのような判断材料を揃え、あの様な行動を起こしたのかは把握しかねます。だとしても正しくはなく、かつ間違ってもいなかったのでしょう。」
「あれだけ多くの島民を殺し、挙句に島一つを消したんだ。人々の故郷を焼き消したのに、間違ってなかったと言うのか。」
「そこまで感情的になるのは、一際特別な思い入れがあるからですか？オハラの事件が、革命軍の結成を促したのだろうとは思っていましたが…。」
「待て、それは外部に話したことないぞ。どこから仕入れた情報だ？」
「当時の政治的状況を検証して、革命軍もしくは前駆組織と思わしき活動記事を世経新聞から探した…個人的な推測です。海軍の見解ではありませんし、誰かに話すようなことでもありませんからご安心を。しかし参謀総長殿ともなればご理解頂けるものと期待したのですが、いかがでしょうか。」
政府は、ごく稀に歪んだ思考を優先する場合がある。
例えばオハラ、またはフレバンス。
言わずも知られた悲劇の場だが、両者に対する判断の根底には政治的必要性があった。必要のためならば軍は能力を遺憾なく発揮し、敵を討ち滅ぼさんと砲撃音を轟かせる責務がある。仮に対象が単なる小島の天才学者だろうとも、世界の平穏を脅かす歴史研究家となるのなら行動は起こされる。
結果がバスターコールだ。
犠牲を伴う危険の未然阻止くらい、参謀であれば覚えのある思考だろうに…とハインは今にも攻撃してきそうなサボを警戒しつつ、ぽつりと内心で呟く。
そも、参謀の役目は勝利の確約。
善行を説くのは本来の役目ではないし、道徳的配慮は法を逸れた者に適応されない。しかしサボは〈理解〉との言葉に明らかな嫌悪を示し、そのやり方は間違っていると首を振るう。だが彼はふと、どこかで聞いたらしいワンフレーズを思い出した。
「…必要ゆえに行われる、か。」
ハインの返答にやや不満気なサボだったが、見聞色が反応したのか急にバッと振り返る。振り返った先、サボの目の前にはアダンダラが迫り、爪を振り下ろそうとしている所だった。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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