第五話 アダンダラのマリア ページ29
ハウンドドッグとて猟犬の一種。
三流海賊と言えども能力者。
思ったよりも良い訓練相手に、マリアはにっこりと微笑んだ。
「まだ余裕がありそうだし、もう少し観戦していようか。それとも早めに終わらせる？」
「遊ぶ時間を確保するなら早めですが、能力者を相手にした実戦経験は貴重ですよ。」
「私でよければ演習くらい付き合うのにね。」
「誰も貴女を相手になどしたくありませんよ。」
苦笑い交じりに歩き始めたハインを置いて、マリアはパタパタとやぶを飛び越え駆け下りる。その足音は次第に四足のものとなり、ある時からフッと何も聞こえなくなった。
さて、場所は移って灯台の下。
海軍相手に必死の抵抗を強いられている海賊は、占拠した灯台を中心に態勢を整えようとしていた。灯台の中には灯台守が人質として捕らえられ、海兵に対する盾として利用されている。海兵達は人質を前に攻め込めず、盾を構えたまま二の足を踏むばかりだ。そこに駆け付けたマリア、もとい白い大山猫が現れる。それはのしのしと部下の合間を歩き、自然界ではありえない真っ赤な瞳で海賊達を凝視していた。海賊達は口々に『アダンダラだ！』『アダンダラのマリアがなんでここに！？』と恐怖を顕に、一歩二歩と後退し始める。
人の背丈はあろう大山猫が首を低くして歩けば、優美勇猛な竹林の虎を彷彿とさせ、雷鳴のような威圧感のある低い唸り声が地を這って響く。それだけで海賊達は一斉に意識を失い、呆気なくも勝敗が決した。彼らの体には猛獣に切り裂かれたような傷が刻まれ、一瞬にして灯台内部は血に染まる。
一瞬で敵を圧する実力。
これが聖母の名を冠する大妖、アダンダラのマリアである。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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