第四話 テクタ前局長 ページ24
あまり詳しくないと言った通り、ドフラミンゴの話す内容には〈なぜ狙われたのか〉と言う肝心な点が欠けていた。話を聞く限り異鉄が原因だとも、テクタ本人や情勢に問題がなかったとも言いきれなさそうだ。両方かもしれないし、別の何かがあるのかもしれない。
とて内容など、両者にとってはほぼどうでもいい。
彼、彼女の目的は異鉄により及ぼされる悪影響の未然阻止、不安要素排除だ。細かく言えばハインは〈異鉄による海軍優位体制への影響排除〉で、ドフラミンゴは〈異鉄による裏社会への影響排除〉である。しかし異鉄を追うのならば、当然テクタの軌跡を追うこととなる。どうせ追うのなら収穫は多い方が良く、両者ともに雑務を片付けるのは得意な方だった。
一つの任務に一つの成果では物足りない。
テクタの事、短剣の事、暗殺者の事、それらを取り巻いていた当時の状況。全てがテクタに終結するのなら、道中の全てを効率良く欲張って、複数の成果を叩き出すべきだろう。
「丁度その直後、スパンダインが政府役人に昇進した。キャラバン商人にすら紛れ込めねぇ下級CPを使った、口封じついで諸共消す前提の功績だな。」
「では詳細について言及しても無意味かもしれません。捨て駒の記録など存在しませんもの。」
遅い夕食を満喫した彼女は、風を一つ流して湿った潮風を払い、興味津々にこちらを見る海賊達を見返す。だが小娘が見返したところで無法者達は動じないし、茶化しや煽り、挑発の意図を感じる仕草をさらに返す輩もいた。しかし、瑠璃の視線を追ったドフラミンゴが眉間に微かな皺を寄せるだけで、無法者達はスッと静かになる。
あと一、二時間も経てば夜明けが訪れるモックタウンで海賊達が騒ぎ続ける。しかし時計塔にはジャヤ漁業組合マカラのシンボルである〈三又の矛をくわえた魚〉の旗が掲げられ、海賊達は早くも帆をそれに替えていた。
ハインは食後の紅茶を飲み終わると、雨雲の近付く夜空を見上げる。大降りになるような雲ではない。東雲を濡らす、春先の小雨程度で済みそうだ。しかし態々降られる必要もないだろう。
彼女はドフラミンゴにお礼を述べると、二対の翼を広げて舞い上がった。渦を巻くように流れる蛾の目の風は、人からウロボロスへと変化した彼女を闇夜へ押し上げ、星の合間に紛れ込ませる。時間にしてたった二、三分。それだけで雨雲よりもさらに高くへ上り、その姿はドフラミンゴの目にすら見えなくなった。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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