第四話 テクタ前局長 ページ22
軽く驚いているドフラミンゴを他所に、ハインは花火を見上げた。瑠璃の双眼に映る花火は色鮮やかに、夜空を彩り散っていく。驚いた鳥が一羽二羽と暗い海へ飛び立ち、直後にまた大きく鮮やかな一発が打ち上がった。
当時ハインは二、三歳程。
急に父を失って、失ったと言う意味も理解できないような幼い娘は、幸運にも環境に恵まれていた。責任の所在的な保護者はセンゴクが引き受けてくれたし、教会のシスターが母親となってくれたのだ。出生不明ながら何にも困ることなく、相当可愛がられて育てられた節すらある。
生育環境についてはそれだけだ。
特に話すべきことなどない、子が育つに望ましい環境だった。むしろハインの生育環境はグランドラインにおいて、あまりにも理想的な普通の形とすら言えよう。父母揃った家庭でも子に与えられないことの多い、余裕を持った環境と愛情、食事に睡眠、他全てを当然に与えられていた。ましてや今思えば、多くはないが少なくもない孤児達を育てる教会で、限りあるシスターの労力と時間を優先的に割いてもらっている。
ハイン本人の知らぬところで何かが定められ、それがさも当たり前とばかりの顔をして、だ。
(どれだけの手回しと口聞きをしたのでしょうね。)
ハインも今や情報局長。
同じ環境を用意しろと言われたら…と考えた彼女だが、考えるまでもなく困難なのは明確だった。なのですぐに考え事を止めて、傍で燃える焚き火を眺める。
「嬢ちゃん、コールダックって聞いたことあるか。」
「…鴨撃ちの。」
知っておけとばかりの物言いに溜息をつけば、ドフラミンゴは読みかけの日記を閉じ、お高いワインの栓を抜いた。
「嫌ぁな相手に狙われたんなら、コールダックよろしく鳴いて爆ぜた方が賢明だろ。死ならば諸共だ。」
「随分古い手法ですね。」
「あぁ。今時代、好んで選ぶ戦法じゃねェぜ？だが敵方の徒労を笑って、さっさと自ら死んだ方がマシな事もある。追われる側の立場が上であればあるほど、追う側の苦労は底知れねェ。その苦労をパァにできんだから、冥土の土産には十分ってな。」
「似たような苦労でもされましたか？」
「フフッ！」
笑いこそしたドフラミンゴだが、否定をしなかったあたり多少の苦労したことがあるようだ。ハインはそれ以上言及せず、彼の話に耳を傾ける。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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