第二話 鈍色の金属片 ページ6
モックタウンの興りは古い。
だが開拓は遅く、大航海時代の幕が開けてやっと家が増え始め、店が建ち、港に並ぶ船が増えるようになった。今ではすっかり海賊達の港として定着してしまい、お呼びでない問題までもが山盛りとなっている。しかし商魂逞しい町民達は海賊達相手にスラムのような危うい秩序を保ち、港町としてそれなりの繁盛を掴んだ。
そんな町の住宅地にある、崩れた時計塔に立ったハインは、イマイチ安定しない足場を気にしつつ、気配を潜めて周辺を見回す。
海賊同士の喧嘩は日常風景。
荒れてこそのモックタウンだが、だとしても今日は酷く荒れている。崩れた家々に、倒された街灯、あちらこちらから聞こえる発砲音には叫び声が重なる。町外れにあるリゾートホテルのプライベートビーチには、船首の折れた海賊船が乗り上げて、周辺に木っ端を撒き散らしていた。折れた船首にはドフラミンゴのシンボルマークが描かれ、垂れたペンキが威圧感を滲ませている。
海賊の世界も厳しそう…とハインは他人事のように思っていると、大きな爆発音が轟いた。音のした方へと視線を移せば、桟橋の一つが吹き飛び、砂埃と黒煙の舞い上がった。空は濁り、流れる煙は火薬臭い。煙の中に立っているのばバギーとベラミーの二人で、風に乗って『盗った、盗られた』と言い争う声も聞こえる。
ハインは瑠璃の目を薄め、荒々しい海賊達をじっと見つめる。蛾の目の腰布がなびき、強風がモックタウンを吹き抜けた。
(…安い火薬。)
つんとする火薬の香りが潮風と混ざる。
燃え盛る火薬庫からは黒煙がもくもくと上がり、隙間には炎がチラついた。
海賊の使う火薬と海軍の使う火薬は異なり、戦場では大きな差を生じさせる。
海軍だからこそ湯水と使える高品質な火薬は、当たり前だが高価な物で、並の海賊にはなかなか買えない品だ。小さな島などでは質の良い火薬を扱っている店自体少なく、そも海賊相手に売る店主もいないに等しい。なのでどうしても、金銭的、信用的問題で海賊はワンランク下の火薬を使うことになる。
まぁ、海賊の中で火薬の質にこだわるような変わり者がいるのかは不明だが、手に入りずらい点に違いはない。
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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