第六話 万人彩色 ページ32
「んで、テーブルアイランドの荒れ具合は一体？」
サボは大草原を思い出すように斜め上を見、アダンダラがやったのか？と尋ねる。
「海王類に襲われました。近くに亡骸が落ちていませんでしたか。」
「落ちてた落ちてた。なるほど…君は研究者の皆を助けなかったのかい？」
「無茶言わないで下さい。むしろ護衛対象から離れるような護衛艦の存在意義を教えていただきたいものですよ。」
「そりゃまぁそうなんだけど…。」
申し訳なさそうにそう言ったサボは、ハインの発言をすんなりと受け入れて肩を落とす。ハインはサボの沈黙を他所に、港に並ぶ船を見下ろして微かに目を薄めた。目を凝らさねば見落としそうな黒船にはガレーラの船大工数名がわらわらと乗り込み、甲板やマストなどの状態を見て回っている。港に置いてある木材から察するに、どこかしらの修理が必要らしい。
「君、海兵にしては結構答えてくれるんだな。なら一つ問いたいんだが…最近の政府は神にでもなったつもりか？」
ハインは船から視線を逸らさず、船大工達の動きを注視し続けている。船大工達は木材を船内へと運び込み、特に作業するでもなくガレーラへと戻って行った。
サボの指摘通り、政府の力は神と例えても良いレベルに到達しつつある。これは事実であり、今更何か言う必要もないだろう。
とは言えだ。
彼らは、世界政府の名に相応しい働きもしている。例えば自然災害や海獣に襲われた島の支援、各国の発展事業への協力などだ。必要となれば技術提供もしているし、基準を満たせば補助金や支援金も出す。加盟国の仲を取り持ち、小競り合いの調停や交渉の席を整えることも多い。海賊対策は言わずもがな、政府なくして成り立たないだろう。
つまり善悪二元論での判断は難しい。
良くも悪くも十人十色、色は混ざれば灰色となる。白でも黒でもなく灰色だ。十色の意見に十色の正義、十色の悪意ならびに善意。人が集まればそれだけ色が多くなり、世界一の巨大組織である世界政府ともなれば、たかが十色では到底足りるわけがない。
…と言いかけたハインは、サボの顔をちらりと見た。
「革命軍が言うところの政府は、天竜人のことでよろしかったですか？とするなら、天竜人は神にでもなったつもりではなくて神の末裔ですよ。」
「君に期待した僕が悪かったか？」
「いえ、理解はできます。それを踏まえて逆にお聞きしたいのですが、革命軍は救世主になったつもりですか？」
「…性格悪いって言われたことない？」
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (
レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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