第五話 アダンダラのマリア ページ27
「沖でさ、海列車の…線路敷設工事をしてるでしょ?多分あれのせいで潮の流れが変わって、気温も上がってるんだと思うよ。この海域特有の問題だね。」
「工事の影響で暑くなるものですか?」
「うん。たしか海列車が運行し始めた翌年、気温と水位、両方の上昇が観測されたはずだよ。前から水位の問題はあったみたいだけど、海列車開通以降、増して酷くなってるって聞いた。」
「へぇ。」
ハインはホットサンドをもくもくと食べつつ、マリアの手元に置かれたシラトラ島の簡易地図を確認する。
シラトラ島は別に特筆すべき点もない、ありふれた地方の有人島だ。南には町、北には原生林、西側の湾には灯台があって、灯台守が代々その光を守っているらしい。町は程よく整備開拓され、平和な日常が営まれている。
しかし現在、西にある湾では海軍と海賊との攻防が勃発していた。今もマリアの部下達が対応してくれているが、どうにも船長が動物系能力者っぽいのだとか。
「それでどうだった?革命軍いた?」
「痕跡だけ。三度ほど物資支援に来ていたようです。」
ハインは海岸近くの教会を横目に、関心薄く頷いた。
別に、革命軍から支援物資を貰っただけでは罪にならない。島民達が支援を必要としている時に海軍が応じられず、たまたま通りかかった革命軍のおかげで助かったのなら、それはそれで良い事なのだ。そもそも海軍と革命軍は、必ずしも敵対関係とは限らない。革命軍と政府は敵対関係であり、延長で革命軍と海軍も敵対関係と思われているだけのこと。しかし海兵の多くは革命軍イコール敵だと誤認しているし、革命軍や島民も同じく誤認している。
ゆえに島々は革命軍からの支援物資を隠そうとする。
「こんなに余裕のある朝っていつぶり?呼び出される心配もしないで、食後のデザートまで楽しめるなんてね!なんて理想的な朝!」
「ほんと。せっかくですし少しだけ観光でもしましょうか。」
「いやいやこの機会だよ?いっそのこと泊まっちゃおうよ!なんだっけ、ほら、ウォーターセブンのあのホテル!」
「あーっと…アフタヌーンティーが話題になったところ?」
「そ!そ!今のうちに行かないと、次がいつになることやら!」
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poidf(ポイドフ)(プロフ) - 誤字も見付けたら教えてくださいまし (11月18日 18時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
poidf(ポイドフ)(プロフ) - どこかにルビ振る為の■が混ざってるかもしれません。混ざってないかもしれない。忘れましてよ。見つけたら教えて。 (2023年3月7日 22時) (レス) id: 24e80c86dc (このIDを非表示/違反報告)
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