【文スト】警察官に補導されました【中原中也】

深夜1時 ページ6

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｢ おはよー…… ｣



少しだけ眠たい瞼を擦りながら教室の扉を開ける。眠気を覚ますように勢いで、全員の視線が注がれるのを肌で感じた。


七瀬とあたしが別れたことは学校中の噂になっていた。昨日別れたばかりなのに、高校生の拡散力というのは恐ろしい。あたしも朝から同じクラスの子達から質問攻めにあうことになった。

どうして別れたの？
どっちからフったの？
そもそもなんで付き合えたの？

七瀬も今このような状況でいるのだろうか。案外気の弱い七瀬だ、変なことになってないといいんだけど。あたしは質問をさらりと躱しながらも自分の席に着いた。
まったく、朝からこんなんだと困る。こちとら別れたとはいえきっぱり七瀬のことを忘れられた訳では無いし、新しい恋の予感なんて感じちゃって複雑な気持ちなんだからそっとしておいて欲しい。




｢ ……そうだった ｣




新しい恋の予感。
あの警察官さん……もとい、中原さんに感じた気持ち。ドキドキと胸がざわつくのがしばらくおさまらなくて、ぎゅっと拳で抑えてみてもどうにもならなくて。七瀬と出会った時と同じ高鳴りを感じた。

之は、恋なのだろうか。あまりにも早すぎるのではないか。七瀬と別れて、数時間後に新しい恋をするなど、世界最速記録を更新するのではないか。あたしはそれほどまでに軽い女だったのか、と軽くショックを受ける。




｢ 別にふつーじゃん？運命の人ってのはさ、いつ現れるか分かんないし ｣




色のついた爪を眺めながらそう云うのはあたしの前の席の女の子。中学の頃から一緒で、基本的に何時も一緒にいる親友のような存在。名を四宮夏希という。可愛らしく明るい、憧れの存在だ。

夏希にも彼氏がいた。あたしとは違って、今も付き合ってる。中学校で出会って、高校は離れたけれどまだ付き合い続けている。他校でも付き合いが続くってすごいなあとしみじみ思う。



｢ 運命の人かあ……でも警察官だし、歳上だし ｣
｢ 関係ないって！歳なんていくつ離れてても好きならなんでもいーんだから！ ｣
｢ 彼女いるかもしんないじゃん ｣
｢ 其処で諦めたら終わりだかんね ｣




あたしはうーんも唸りながら机に突っ伏した。

彼女がいるかいないかは聞けばいい問題。年齢だって、夏希が云うように好きな気持ちがあれば関係ないと思う。
でも、大前提としてあたしは本当に中原さんのことが好きなのかが分からない。ほんとに、好きなのか。まだ分からないし、確かめる術も分からない。

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