深夜1時 ページ5
。☆
七瀬には別れようって云われた。
あの後色々考えて、どうやったらあたしのことを大事に出来るかって事を第一にしたら、別れるのが一番だって云ってた。
本心では少し嫌だった。七瀬のことがすごく好きだったから。だけど受け入れたのは、七瀬のこが好きだから。
そして今日、放課後を迎えたあたしはとある場所へ向かっていた。
お礼にと思って買った近所のケーキ屋さんのチーズケーキと一緒に。あたしは相変わらずドギマギしながらもその建物へ足を踏み入れた。
「 お邪魔しまーす……あ! 」
「 ……なんだよ手前かよ 」
「 良かったあ、警察官さんが居て! 」
向かったのは警察署。警察署なんて当番制だからしょうがないかなと思ってたけど、此の人が居てよかった。あたしは警察官さんの所まで駆け寄った。
チーズケーキの入った箱を手渡す。気ぃ使われると困るって、あの日みたいに笑った。
「 お礼、言いたくて。あたしと七瀬から 」
「 そんな大層なことしてねえよ 」
「 七瀬と別れることにしました 」
警察官さんは驚いた顔をした。その言葉があたしから出てきたことが信じられないのだろう。
「 ……手前はそんでいいのか? 」
あたしは、これで。いいんだと思う。
好きだったけど。別れたくなかったけど。
なんだか妙に、清々しい気持ちなのだ。
未練が無いわけじゃない。欲を云えばずっと隣に立っていたかった。でも考えてみれば好きな人が自分のことを好きって云ってくれたことが云わば奇跡で。
「 はい。七瀬はあたしに、奇跡をくれましたから。寧ろ感謝したいんです 」
「 ……そうか。なら良かった 」
警察官さんは笑った。さっきみた笑顔とおんなじように。ふわっと、花がほころぶみたいに。女の人はこんな笑顔見たら一瞬で好きになっちゃうんだろうな、なんて。
警察官さんは何処に行くのか、立ち上がった。冷蔵庫の前に行ったかと思うと、飲み物を二人分。
座る前にその掌が、あたしの頭に触れた。
「 だいじょーぶ。お前可愛いから直ぐ次見つかるって 」
「 っ……!け、警察官さん、それは、 」
「 お前其の警察官さんってのやめてくんねえ?長ったらしくて面倒臭い 」
だって、名前教えてくれないじゃないですか。
そしたら笑って、こう云う。
「 中原中也だ。中原さんって呼べよ 」
かみさまかみさま。
次の恋の予感ってのは、こんなに早く訪れるものですか?
122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょこたん(プロフ) - 初めまして!警官中也さんとか最高過ぎます!続き更新してほしいです! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 130af08cdc (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - キサラギさん» コメントありがとうございます!その発想はなかったけど面白すぎませんか、、、笑 中也さん不憫すぎます笑 マフィア中也さん×警察官夢主ちゃん、、、それはそれで面白いかもしれませんね笑 ありがとうございます! (2018年8月24日 6時) (レス) id: d14bf30071 (このIDを非表示/違反報告)
キサラギ - タイトルだけ見てるとマフィアの中也が (身長のせいで) 警察に補導されたのかと思って笑ったw (2018年8月24日 0時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - 乃杏さん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんと中也さんが色々すれ違っちゃうかもしれませんが、また暖かい目で見守ってやってください〜笑 (2018年8月22日 7時) (レス) id: bba8357d2d (このIDを非表示/違反報告)
乃杏(プロフ) - 夢主ちゃん!大丈夫!私の親は6歳差だから! (2018年8月21日 17時) (レス) id: 477b1e96bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しらせ | 作成日時:2018年8月11日 20時