深夜1時 ページ1
。☆
「 ……じゃあまた明日 」
「 うん、ばいばい 」
軽く振られた掌に、小さく自分の掌を振り返す。満足そうな笑顔を浮かべた彼は、くるりと背を向けて帰路についた。その背中を見つめながら、少しだけ溜息が出た。
松風A、高校2年生。
こんな夜中に外に出ては行けないことぐらい、分かっている。
現在の時刻、深夜1時。あたしが如何してこんな時間に外に居るかと云うと、理由は先程背を向けて帰っていった“彼”だ。
彼とは文字通り、高校に入って出来た彼氏。2年生になりクラス替えがあって、其処で初めて知り合って。話も合うし趣味も同じで一緒に居ると楽しい。そんな理由で付き合い始めたのは1ヶ月前のことだ。彼、七村七瀬は気は大人しく真面目で、優しい。だから、こんな夜中に高校生だけで外に出るのがいけないことぐらい、きっと分かってる。でも七瀬にも七瀬の事情があるのだろう、七瀬が2人で会おうと云う時間は何時もこの時間帯だった。
どうしてだろう、と考えたことは何度もあるけれど、なかなか本人に聞けないのはあたしが弱いからだろうか。それとも、惚れた弱みって奴なんだろうか。取り敢えず、客観的に見たあたしは有り得ない程七瀬にベタ惚れなのだと思う。
「 やっぱり帰る頃にはこんな時間か…… 」
気を使ってか、七瀬が2人で会おうと云うのは何時も金曜日と土曜日の夜だった。明日は学校がないから寝る時間を考えなくてもいいからだろう。真面目な七瀬だけど、変なところで不真面目だ。
深夜1時に女子高生が1人でふらふら。大人達は聞けばきっと皆危ないと口にするけれど、実際此の1ヶ月此の習慣を続けてきて変質者にあったこともなければ、パトロール中の警官に会ったことも無い。まぁ警察官などに会ってしまったら補導など何だのと面倒臭いから会わない方が良いのだが。
そんなことを考えながら相変わらずふらふら。家へと向かって歩いていると、ふと誰かと肩がぶつかった。慌てて顔を上げ、謝ろうと、する、……んだけど。
「 あ、す、すみません、 」
「 ……お前、高校生か。今何時だと思ってンだ 」
青いシャツに、深い蒼の帽子。
あたしを見下ろす貴方はもしかしてもしかして、警察官、ですか?
かみさまかみさま、あたしフラグを立てた覚えはありません。
122人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょこたん(プロフ) - 初めまして!警官中也さんとか最高過ぎます!続き更新してほしいです! (2018年12月10日 20時) (レス) id: 130af08cdc (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - キサラギさん» コメントありがとうございます!その発想はなかったけど面白すぎませんか、、、笑 中也さん不憫すぎます笑 マフィア中也さん×警察官夢主ちゃん、、、それはそれで面白いかもしれませんね笑 ありがとうございます! (2018年8月24日 6時) (レス) id: d14bf30071 (このIDを非表示/違反報告)
キサラギ - タイトルだけ見てるとマフィアの中也が (身長のせいで) 警察に補導されたのかと思って笑ったw (2018年8月24日 0時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
しらせ(プロフ) - 乃杏さん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんと中也さんが色々すれ違っちゃうかもしれませんが、また暖かい目で見守ってやってください〜笑 (2018年8月22日 7時) (レス) id: bba8357d2d (このIDを非表示/違反報告)
乃杏(プロフ) - 夢主ちゃん!大丈夫!私の親は6歳差だから! (2018年8月21日 17時) (レス) id: 477b1e96bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しらせ | 作成日時:2018年8月11日 20時