彼氏 17 ページ17
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「いい?劇団員は全部信じちゃダメだからね?」
「そんなにヤバい人なんですか…?」
「うん、」
俺のoff状態がね、ヤバいんだよ。
一応、連れてくる条件にこの間、俺がこういう人だって言ってはいけない、と言った。
言ったけどな、万里や幸はそう匂わせるような事を言うかもしれない。
だから先に先手を打っておく。
賑やかな声が寮内から聞こえてくる。
こりゃ、全員起きてそうだな。
俺は意を決してドアノブに手をかけた。
「ただいま」
「朝からどこほっつき歩いてたんですか、至さ…」
綴の背中が見え、顔をこちらに向けたら彼女と目が合ったんだろう、固まった。
Aちゃんも急な事で少しフリーズしてたが、直ぐに「おじゃまします」と呟いていた。
その声に反応し、「おはようございます、直ぐにお茶用意しますんで談話室で待っててください」と小さく笑うと颯爽とこの場を去った。
「あの、お菓子持ってきたんですけど、」
「まじ?じゃあ俺が綴の所にお菓子持っていくわ、あ。さっきの奴、綴って言うの」
「あっ、そうですか。あの、脚本も書いてる方ですよね」
「そうそう、」
靴を脱がせ、近くにあったお客様用のスリッパを履かせると「い、至さんが女の人連れてきた!!」と綴の声が聞こえた。
こっちまで聞こえてるぞ、綴〜。と思ったら、小さな笑い声が聞こえた。
「あっ、すみません。」
「いやいや、大丈夫だよ」
「寮の中でもカッコいい茅ヶ崎さんだと思っていたのでやっぱり会社とじゃ印象変わりますよね」
と、小さく微笑んだ。
俺より少し小さいAちゃんは、目を合わせるように笑うのだけれど、それが俺の心にぐっと刺さる。
俺は知ってるぞ、これを世に言うしんどい、ってやつだろ?
俺は知ってるぞ。
悟られないように、「会社だと気を張ってるのかもね」と、談話室に向かった。
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白身魚(プロフ) - natugyuさん» comme thanks* 面白いと言って頂き感謝の言葉しかないです。最初は至さんをこんな性格の悪い奴にして大丈夫だろうか、と不安がありましたが心強いです。夢主ちゃんも心広すぎて少しは茅ヶ崎怒れよお!って思いながら書くときもありました笑 更新頑張りますね(*´ェ`*) (2018年5月16日 20時) (レス) id: d04133848a (このIDを非表示/違反報告)
natugyu(プロフ) - とっても面白いです!至さん推しなのに夢主ちゃんの健気さに胸を打たれてしまいましたw (2018年5月16日 16時) (レス) id: 5862bce5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白身魚 | 作成日時:2018年4月22日 20時