咲かない向日葵/ht ページ2
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読んでいた本を置いて外を見る。
隣の家の桜の木から桜の花びらがひらひらと舞い落ちてくるのが目に入った。
もうそんな時期か
席を立ち庭へ出る支度をする。
今年は一人でやらなくてはいけないことに心にぽっかりと穴が空いたような、そんな喪失感を感じながらも円匙と種の入った瓶を用意する。
俺はそれらを持って庭の花壇の傍にしゃがみ込んだ。
……あれから一年が経とうとしている
彼女は元気でやっているだろうか
瓶に入った向日葵の種を見つめれば、あの日のことが頭に蘇る。
·△▲▽▼·
「ひとらん！見て！」
幼い頃から花が好きだった俺は庭で小ぢんまりと育てていた花に水を上げていた。
そこへやって来たお嬢様は何かを手に持っている。
見せびらかすように見せてきたそれは向日葵の種だった。
「これどうしたんですか？」
「ひとらん花好きでしょ！だから一緒に育てようと思って！」
俺のことを思ってそう言ってくれたのが嬉しくて、でもそれを素直に言うのは少し恥ずかしくて。
少し顔を背けながら「じゃあ早速植えようか」と提案した。
「ひとらん！ここ掘ればいい？どのくらい？」
「お嬢様、円匙がここにあるんですから手じゃなくてこれ使ってください！」
「ひとらんも！今二人しかいないんだから敬語ヤダ！」
「分かった、分かったから！そんな手を汚したらお母様に怒られるよ」
「ヴっ……分かった…」
ドタバタしながらも何とか種を植え終えると縁側にAのお母様がやって来て「あら、何をしていたの？」と声をかけて下さった。
「お母様！」
それに気づいたAは一目散に駆け寄る。
「今ね、ひとらんと向日葵の種を植えたの！きっと夏には綺麗な黄色の花が咲くよ！」
「あら、楽しみね」
「植えるのね、楽しかったの！ひとらん、来年もやろうよ！」
「別にいいけど、」
「はい、じゃあ約束！ゆーびきーりげんまん…」
俺たちが指切りを交わす姿を見てふふ、と微笑むAのお母様はとっても美しい。
お顔も綺麗な方だけど人としても、とても立派な方で勿論俺も尊敬しているし、Aは「お母様のようになりたい」と常日頃言っている。
「いつかお母様のように立派な人になってお家の役に立ちたい」
そう言うAの傍に従者として、友達としてずっと傍に居れたらいいなと思っていた。
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円匙…スコップ、シャベルのこと
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しをじゃけ(プロフ) - 夢喰いbakさん» 返信遅れまして申し訳ありません...！そう言っていただけるととても嬉しいですし、励みになります！全ての作品に魅力があるのが伝わってとても嬉しいです〜！^^風邪引いちゃいますので服は着てください(笑) (2020年7月18日 2時) (
レス) id: df6ceccb61 (このIDを非表示/違反報告)
夢喰いbak - 素晴らしい企画を発案、実行、投稿して頂き、誠に…まっこっとっに！ (おふざけ)ありがとうございます!!!! 全ての作品に楽曲の素敵さや儚さが詰め込まれていて心にキました…。第二弾！全裸待機していますよ…!!(笑) (2020年7月15日 0時) (レス) id: 582bb38728 (このIDを非表示/違反報告)
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