上から落ちて、下から落ちて (ページ17)

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ThIRtEEn ページ17

「お疲れ～」
「お疲れさまでした！」
料理店の個室ではとあるライブの打ち上げが行われていた。
実はAは、【秋の草】という仮面バンドのボーカルをしている。今日は月に一回のライブの日だったのだ。
「A、番組出演おめでと！」
「そんな桔梗(ききょう)さん！私のことなんて...」
桔梗と呼ばれた男はビールを片手にAと乾杯をする。
「嬉しいよー！この間までこんなにちっちゃかったAがねー。そう思わない？ふじさん？」
「そうだね、俺たちが年取ったのがバレちゃうね、葛の葉」
ふじと葛の葉と呼ばれた男女も揃って乾杯する。
恥ずかしくなったAは隣に座った男の子に助けを求める｡
「萩くん、何とかしてよー」
「え、僕？ムリムリ」
こんなわちゃわちゃもAの楽しみの１つだった。時間も忘れ、話していくー

打ち上げも終盤へ向かい、最後にAが話す場面になった。
「今回のライブも私のためにいろいろ時間調節していただいてありがとうございます。
私のソロデビューのわがままも聞いてくれて、本当に４人には感謝しかないです」
すると、桔梗が
「いいんだよ、そんなこと。ね？」
他の３人も頷く。
「元々奇跡的にスタジオでバッタリあった５人で今も活動してたった一年でここまで出来るなんて思ってもいなかったよ。」
「奇跡に奇跡が重なったのよ。そうでしょ、A？」
葛の葉がニコリと笑う。
「だから、君は君の進む道を一生懸命頑張ってな」
ふじさんはビールをぐいっと飲むと親指を立てた。
「いつでも暇なときには戻ってきてね」
萩もオレンジジュースを飲みながら言う。
「なんか引退するみたいじゃん！」
Aが言い、５人は笑った。
「じゃあ１か月後に！A、いつものよろしく」
「じゃあ、いきますね。せーのっ」
『Autumn grasses!』
５人はハイタッチをした。

「それじゃあ、未成年組はお先に失礼します！」
「気を付けてね～」
「元気でな」
「番組見とくから！」
２人は３人に礼をするとお店からでた。

「じゃあまた今度ね～」
「バイバイ」
Aは萩へ手を振ると、彼とは別の駅の方へと歩く。

「確か駅まで烏山さん来るはず...」
駅に着きスマホで確認しようとすると、

ーピコン

メールが来たらしい。
「？誰だろ」
Aがメールを開いてみると、

大和久しぶり、元気?

その瞬間、Aは目の前が見えなくなりその場へ倒れこんだ。
遠くから響の声が聞こえた気がした...