上から落ちて、下から落ちて (ページ13)

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TEn ページ13

チリリリリン、チリリリリンとけたたましくスマホのアラームがなる。
「...朝か」
大和は手を伸ばしスマホを探し、乱暴に止める。
「痛っ」
昨日怪我したことを忘れていたのか、右手で止めたらしい。
数分して左手で目を擦ると、目をゆっくり開いた。
右手を庇いながら起きると、壁にかかった時計を見あげる。
「もうすぐ１２時か」
眼鏡をかけると、共用スペースへ向かった。

「おはよ」
大和がドアを開けながら言う。
しかし誰も聞いてなかった。なぜなら
「体にいい物って何ですか！？」
「大和さんって何が好きでしたっけ？」
「食べにくいものはダメですよね。右手があまり使えませんし」
「俺、オムライスがいいー」
「私がケチャップでここなを書きマス！」
「俺だけで作るんじゃないからなって...あ」
ようやく三月が大和の存在に気づいた。
「おはよ、ミツ」
その声で全員が大和を見る。全員大和を見たまま固まった。
そうして
「ほら、やっぱり起きちゃったじゃん」
「間に合わなかったかよ...」
陸とナギ、環ががっかりして肩を落とした。
「え？何しようとしてるの？ドッキリ？お兄さんビックリしても転べないよ？」
大和は
「違いますよ、大和さんの怪我が早く治るように何か料理を作ろうと思って」
「え」
大和は内心喜んでいたが、顔には出さずこう答えた。
「...パンケーキ」
「へ？」
皆の顔に戸惑いの表情が出る。
「パンケーキ？」
「そう、パンケーキつくってよ。お兄さん一度も陸のパンケーキ食べてないから」
そういうと陸にパッと笑顔が咲き、
「はい！」
と答えた。