アルビノドール【ハンター×ハンター】 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:648 hit

お出かけページ5

通話している途中、ふとイルミの視線がボクの後ろに注がれた。

「そいつ？三年前にオークションで買ったって言ってた人形。なんか写真で見たのと随分違う気がするけど」

　振り替えると、後ろではAがブツブツと文句を言いながら服をたたみ、鞄に積み込んでいた。てきぱきと動き回るその様は、まるで小動物のよう。

　Aがこちらの視線に気づき、首を傾げる。ボクが荷造りを続けるように言うと、Aは作業を再開する。

「かわいいだろう？あげないよ◇」

「いらないから」

　酷いなぁ♤

「それより、今年のハンター試験。オレは余裕で合格だろうけど、お前今回はそいつも連れていくんだろ。去年落ちてるやつが子供のお守りしながら合格できんの」

　念の基礎はできてるっぽいけど、とイルミはつけ足した。画面越しでAの念を見たらしい。

「そこまで見えてるんなら、結果は君にも分かるんじゃないかな♧

　………もしかして心配してる？」

　まさか、とイルミは言った。

「とにかく、今回はちゃんと合格してくれよ。少しでも枠を減らしてもらわないと困る」

「はいはい、分かってるよ♤」

「じゃ、オレそろそろ行くから」

　ブツリと通話が切れ、画面が真っ暗になる。相変わらずの仕事人間らしい。もっと友人に構ってくれてもいいのに。暗い画面を見つめながらそんなことを考えていると、後ろから肩をツンと小突かれた。

「お電話は終わりましたでしょうか？」

　彼女の荷造りが終わったようだった。

「うん、じゃあ行こうか♧」

「はい！」

　もう何軒目か分からない家の鍵をゴミ箱に捨て、玄関の扉を開ける。すぐ後ろからAついてきて、扉を閉める。この家はオートロックなので、自動的に鍵が閉まる。Aはドアノブをしばらく握って、離した。

「なんか嬉しそうだね♧」

「だって、ヒソカとお出かけするのずっと楽しみにしてたんですもの。嬉しいですよ」

「……………そう♡」

　死ぬかもしれないハンター試験に'お出かけ'か♤

「それ、いいね♡」

「はい！」