6 点検、チェック ページ9
手入れ部屋に入ると、
つい先程目を覚ました太鼓鐘貞宗がボンヤリとした目で虚空を見つめていた。
実際に見てみると本当に派手…というか綺麗な子だ。魅惑の太ももスゴイ。
虚ろな目で私の方をじっと見て逸らさない。
…よく見ると、体が少し震えている。
『…小夜、頼めるかな。』
「………わかった」
短刀だから、という安直な考えだけど、彼は審神者である人間を恐れている。とにかく、私は一緒にはいるべきじゃない。
『前の審神者のことは何も分からないけれど…同じ人間として、私は沢山償うから。……本当に、ごめんなさい』
姿勢を正して正座をし、深々と頭を下げる。
それから立ち上がり、障子を開けた。
部屋を出て閉めようとしたその時、
「………ありが…とな…」
かすかに聞こえたその声に、泣きそうになるのを堪えて、ゆっくりと閉ざした。
鶴丸の方は既に回復していたようで、
私の姿を見て、少し驚き、しかしすぐに真剣な顔で姿勢を直した。
「…燭台切光忠と、大倶利伽羅、太鼓鐘貞宗は…無事なのか?」
『…太鼓鐘貞宗は、助かります。
ですが、二人だけは、………………』
救えなかった。
ただそれだけなのに言葉が、出ない。
斬られるリスクは承知している。
まだ…失うことが、恐い。
「いや、いいんだ。こちらこそすまんな…まだキミはこういう事に日が浅いのだろう?…何より、これは俺達にとって相応の、代償だろうしな…」
俺達を助けてくれただけでも嬉しいぜ、と白く細い手で私をギュッと抱きしめた。
強く抱きしめられ、突然の事に動揺して抵抗しようとしたが、顔が見えない彼の背が小さいように見えて、やめておいた。
背中を優しくさする中に聞こえた彼のすすり泣きは、聞こえないふりをして。
…なお、私を探していた長谷部にこの光景を見つけられ、かなり問い詰められた。
…やましいことはしていない、と主張していた私だが、鶴丸が本調子を取り戻しやがり、
「俺はこの子とでぃーぷな密会をしたんだ」
と言い出して、説教は宗三も入って三時間も受ける羽目になった。
二人には是非ともこの鶴の調教を何とかして貰いたい、私には出来ない(綺麗すぎて)。
……………………………………
ミスです!訂正しました
江雪→宗三
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです!続きを待ってます!(*´ω`*) (2021年9月27日 10時) (レス) @page18 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫宛(プロフ) - ありがとうございます、そう言ってもらえて嬉しいです…!気長に更新を待ってくれると嬉しいです、頑張ります (2019年5月12日 22時) (レス) id: faf2e943f0 (このIDを非表示/違反報告)
裕斗(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。次の更新も楽しみにしています。やっぱり、見る人が少ないと打ちきりたくなりますよね……。私もそうなので分かります。あと一票で星に色がつきますので頑張ってください。ホワイト本丸作り、頑張ってほしいです。 (2019年5月12日 19時) (レス) id: aecdb871b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫宛 | 作成日時:2019年4月12日 22時