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_____近藤勇。処刑
その知らせは、嫌でも耳に入ってきた。新選組の士気がまたも下がる。必死に彼らを奮い立たせてきたトシが心配だった
私たちの大将が、処刑された
切腹もさせてもらえなかったという
『英雄でないものが、真の英雄である』
かつて近藤さんはこう言っていた。そのときは意味があまりわからなかったが、今なら分かる気がした
『トシ達のこと、頼んだよ』
そういった、彼の優しい笑顔が忘れられない
烏(からす)がどこかで哭いた
__________
「…近藤さん、が?」
寝ているだけでも苦しい僕の元に、耳を疑う知らせが入った
近藤さんは、僕にとって父であり、兄であり、友であり、仲間であり…言葉では言い表せないほど、かけがえのない存在だった
ずっと、近藤さんの背中を追って生きてきた
その彼が処刑されたという
首を晒され、まるで見せしめのように
現実離れしすぎたことに、頭がおいついてこなかった
「…近藤、さん」
最後見た近藤さんの顔は、確か僕を元気づけるような…でも心配そうな顔だった
その顔から、Aちゃんの辛そうな顔が連想された
…Aちゃんは今、僕らのために戦っている。僕がこうして、弱っていく間にも彼女は日に日に強くなっている
「…僕は…」
近藤さんが、死んだ。
「…なにも守れないのかな…?」
棚に乗っている、赤い瓶を見つめた
それは窓からの月明かりに照らされて、妖しく輝いていた
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青椿(プロフ) - 全部、読ませていただきました!更新、頑張ってください!そして、ちょっとでいいので文才を分けてください…。(笑) (2017年7月8日 23時) (レス) id: 3c821da097 (このIDを非表示/違反報告)
めいさい - この作品大好きです!うるっときました!そしてギャグがすごくおもしろいです(*≧∀≦*)頑張ってください。 (2016年12月16日 21時) (レス) id: 3c799ac5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - ヘムヘムさん» 更新停止気味で申し訳ない気持ちでいっぱいです…。ありがとうございます!とても励みになりました! (2016年10月10日 16時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
ヘムヘム - この作品,全部読みました!とても面白いです!惹きつけられました!!これからも,頑張ってください!ファンとして応援してます!!!! (2016年10月10日 13時) (レス) id: 678d5df645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドラごん | 作成日時:2016年7月12日 21時