検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:11,963 hit

5 ページ5

「…A」


私は、泣いていた。彼の肩を掴みながら。もう、それを揺する力もない

私の涙をすくうように、彼は指で私の頬を撫でた


「は、じめ…っ…」


ごめんね、自分勝手で

ごめんね、気持ちがついてこないの




一の胸は優しい香りがして、暖かかった。彼の腕が私の背中にまわる




「…あんたは戦う時、怖いか?」


戦う時。もちろん怖い
でも、死にたくないとかそういう後ろめいた気持ちは全くない。そんな感情が生まれるのは、きっと彼らと離れたくないからだろう



「もし大切なものを守るために戦うならば、死ぬのが怖いか?」



…大切なものを、守るための戦いなら。

私は怖くない、と思った

彼らを、守るためなら命なんてなんともない



「…俺達は、そういう気持ちであんたと共に戦っている」




顔を上げると、優しく私を見る一がいた



その瞳に、吸い込まれそうになる。こんな間近で彼の目を見た事がなかったから。綺麗な色だった



「…みんな、何かを守るために、戦ってる…?」



自分に置き換えれば簡単な事だったのに。彼らの気持ちなんてすぐに理解できたかもしれない



「…志を、守るため?」


「それもある」


「…他にもあるの?」


「大切な人を、守るためだ」




一が、私の髪を撫でた。もう一方の手は腰に下がり位置を変えた


「っ…」



これじゃあまるで、た、大切な人って私みたいじゃない!?
急に顔に熱が集まる

一ってこんな人だったっけ?
もっとクールで、口数少なくて、ちょっと何考えてるかわからなくて、でもよく見てると結構顔に考えてる事でてて…



「…は、一?」



私が目を覚ませと言わんばかりに、一の胸をポンポンと叩く



「…はっ!」



ハッとする一。本当にハッて言ったよこいつ…


その後素早く私から離れる彼に、私は驚きと気まずさでその場に佇むしか出来なかった



「す、すまん…!つい」

「つい…?」

「!いや、何でもない…気にしないでくれ」



一くんがこんなに焦ってるの初めて見た


「ふふ、いいよ?別に」


にこ、と笑う


「抱きしめられたり、人を抱きしめたりすると、一人じゃないんだって思えるんだ…私は。安心するしさ」


すっごい昔のように感じるけど、平助が御陵衛士に行くって伝えられて、抱きしめられたとき。

総司に告白されて、抱きしめられたとき。…トシもだ。

この前だって、左之に抱きしめられて、私はそう感じた



顔を真っ赤にする初めを横目に、私はふふっと笑った

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:薄桜鬼 , 逆ハー , ドラごん
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

青椿(プロフ) - 全部、読ませていただきました!更新、頑張ってください!そして、ちょっとでいいので文才を分けてください…。(笑) (2017年7月8日 23時) (レス) id: 3c821da097 (このIDを非表示/違反報告)
めいさい - この作品大好きです!うるっときました!そしてギャグがすごくおもしろいです(*≧∀≦*)頑張ってください。 (2016年12月16日 21時) (レス) id: 3c799ac5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - ヘムヘムさん» 更新停止気味で申し訳ない気持ちでいっぱいです…。ありがとうございます!とても励みになりました! (2016年10月10日 16時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
ヘムヘム - この作品,全部読みました!とても面白いです!惹きつけられました!!これからも,頑張ってください!ファンとして応援してます!!!! (2016年10月10日 13時) (レス) id: 678d5df645 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ドラごん | 作成日時:2016年7月12日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。