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「…違う」
小声で、一がそう言った気がした
違うって何が?平助が大丈夫じゃないってこと?
「羅刹は数十年かけて使い果たすものを借り、力を得ている」
「数、十年…?」
「…天霧という鬼から聞いた」
数十年って…そんなに莫大な年数を?寿命が縮むとは知っていたが、そんなに消費するとは思ってもいなくて
「…じゃあ、力を使えば使うほど…死に近づいていく…って、事?」
「…あぁ」
じゃあ、随分前から羅刹になり、力を何度も使い、発作に苦しむトシはどうなるのだろう
もしかしたら平助も、その力を使って今も戦っているかもしれない
誰かを守るために
「それって、力を使えば…一時的に病気は治ったりする?」
「そうだな。残りの命をその一瞬で使っているからな」
_____総司…
「でも…病気だったら、残ってる寿命が少ないでしょ…?だから、その…」
「力を使ったら死ぬ」
ガバッと一くんをみた。彼は冷たく言い放っていた
彼らは侍だから、命なんて安いものなのかもしれない。だから、こんな自分の命に執着しないのだろう
でも、残される私は…?
なんでみんな…そこまでして…
自分勝手だろう。分かっている。でも、大好きな彼らが死んでいくのは見たくないし見るつもりもない。辛い思いをするのは嫌だ
ちゃんと分かっていた。我慢しようって。でも、トシや平助の死を身近に感じた今、そんな事考える余裕はなかった
「皆が総司が…危ない!」
気付いたら、一の肩を掴んでいた
「…皆、覚悟の上での行動だ」
「でも…っ!死んじゃうよ…っ…やだ…っ!!」
彼の服を握る手が震えた
「やだよ…何で…」
怖い。
私は彼らについていくと、彼らを守ろうと決めたのに。
もし彼らが自ら死を選んだのなら
私にできる事は、ない
「…みんなと…一緒にいたいだけなのにっ…」
知ってる。無理な事くらい
時代がそうさせてくれないのも、わかってる
その時代を変えようにも、あの時間は戻ってこない事もわかってる
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青椿(プロフ) - 全部、読ませていただきました!更新、頑張ってください!そして、ちょっとでいいので文才を分けてください…。(笑) (2017年7月8日 23時) (レス) id: 3c821da097 (このIDを非表示/違反報告)
めいさい - この作品大好きです!うるっときました!そしてギャグがすごくおもしろいです(*≧∀≦*)頑張ってください。 (2016年12月16日 21時) (レス) id: 3c799ac5d2 (このIDを非表示/違反報告)
ドラごん(プロフ) - ヘムヘムさん» 更新停止気味で申し訳ない気持ちでいっぱいです…。ありがとうございます!とても励みになりました! (2016年10月10日 16時) (レス) id: 19ae749365 (このIDを非表示/違反報告)
ヘムヘム - この作品,全部読みました!とても面白いです!惹きつけられました!!これからも,頑張ってください!ファンとして応援してます!!!! (2016年10月10日 13時) (レス) id: 678d5df645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドラごん | 作成日時:2016年7月12日 21時